新型コロナが収束に向かう中、もう一つの「東京2020」に向けての準備がはじまっている。それは7月5日投開票(投票・開票日)の都知事選挙。
この選挙では小池百合子都知事を再選すべきかが問われている。
候補は6月18日までに出馬の意向を示す必要がある。
国政選挙ではないにせよ、首都東京の知事を決める選挙は極めて重要である。この記事は投票すべき理由とチェックすべきポイントを解説する。
投票すべき理由
選挙とは政策を法にする代表者を選ぶもの。投票は国民の意思表示ということになる。
投票しない人の多くは一票に意味はない、候補を調べる時間がないなどと言う。要するに、投票するメリットがないのだ。しかし、投票自体は時間がかからず、世の中を動かす第一歩になる。
確かに、一票にあまり意味はないかもしれない。それでも、国民の代表者である政治家に意思表示をすることは大切である。
若者は特に投票するべきだ。Twitter上を探せば、以下の団体のように熱心に活動をしている若者向けの団体は多数存在する。政治に対する関心が少しずつ高まっていると言えるだろう。
それでも、若者の政治参加がまだ足りないことに変わりはない。投票するだけでなく、誰に投票するのかも考えるべきである。
なぜ投票すべきかを簡単にまとめてみた。
1. 高齢者は若年層より圧倒的に高い率で投票している。そのため、政治家はこの層の意見に左右される傾向がある。
地方・国政選挙では投票率が変わるものの、どの選挙をとっても高齢者が高い水準で投票していることが分かる。
前回の国政選挙であった参議院選挙では、50代以上の約半数が投票した。それに比べ、18歳~29歳は30%程度しか投票していない。日本は高齢者の方が多いため、選挙では圧倒的に多くのシニア世代が投票したことになる。

同じことが前回の2016年の都知事選にも言える。

投票率が59.73%だったこの選挙では、50歳~80歳の約65%から75%が投票したのに対し、若者世代は35%から50%に止まった。18歳の半数以上が投票したのはいい傾向だが、20代にはもっと投票してもらう必要がある。
2. 短期的な政策が多く作られ、長期を見据えた政策が少なくなる。
高齢層の意向が反映されやすいため、政策も短期的になってしまう。長期的に考える必要がある気候変動の問題や環境問題が蔑ろにされやすい。
仮に長期的な政策が作られても、若い世代の意見が反映されていない可能性がある。
3. 国会や地方議会などで若い世代の声を代弁する議員が増える。
国会や地方議会に若者の声を届ける議員を送り込む必要がある。そういう議員を当選させるためには一票でも多く集めることが大事になる。
4. 投票は国民にできる最低限の意思表示。
投票自体は時間があまりかからない。近くの投票所に足を運んで投票を済ませるのに10分もかからないだろう(私も2019年の参議院選挙で初めて投票しました)。
政治家や政策に対する批判をするのは簡単。ネット上で不満を発散するのもいいが、投票するのも意味はある。すぐに大きく変わることはなくとも、意味がないことはない。
都知事選で投票すべき理由
東京の人口は複数の国のを凌駕する。それだけ大きい都市である。世界経済フォーラムによれば、東京は世界の都市の中で2019年のGDPが最も高かった。
都知事はそれだけの都市を任される、絶大な力を持つ政治家だ。時には他県の知事や国さえも動かすことができる。
このことは新型コロナの対応の際に証明された。小池都知事は東京への移動を抑止すべく他県と連携をとった。さらに、安倍政権と交渉し休業対象の店舗・事業を決めた。
投票する理由はまだある。都議会の活動について知る都民が少ない中、最もメディアなどに取り上げられて活動が知られている都知事を選ぶことは政策を都民のために作らせるのに必要だ。政策を都民の知らない間に作られるのはいいことではない。
また、ここ最近の選挙では認知度で候補者が当選する傾向がある。これは地方選挙で最も顕著に表れる。理想を言うのであれば、当選者は政策を見て決めるべきだ。それも実現可能な範囲で、最も都民の利益になる政策を考えている候補者を選ぶべきだ。
小池都知事再選は?
選挙を1ヶ月後に控える都知事の支持率が上昇している。
JX通信社が5月30日・31日に行った世論調査によると、小池都知事の支持率は69.8%、3月の調査から20ポイント上昇していた。
都知事のコロナ対応がこの評価につながっているようだ。その証拠に、知事のコロナ対応は76%(同調査)の回答者に支持された。

過去の選挙の結果も知事の味方をしている。
直近7回の都知事選では、現職が毎回再選している(石原慎太郎都知事)。猪瀬氏と舛添氏はスキャンダルにより再選を目指さなかったが、現職の再選率が高いことは明白だ。石原元都知事を見ていれば分かるが、やはり認知度は重要のようだ。
これまでに出馬表明をした候補者
小池都知事は正式に出馬を発表していない。複数メディアによれば10日に発表するとのこと。
自民・公明両党は都知事を支持する方向で固めた模様。知事が自民・二階幹事長と会談を行ったことからもこのことが伺える。
自民党は対抗馬を出すことを断念したようだ。2016年に増田寛也氏を支援しながらも小池氏に敗北したことも影響している。加えて内閣支持率が下がる中で小池氏に再度敗北する余裕はないと判断したと考えられる。
野党4党のうち立憲民主党、共産党、社民党が宇都宮健児氏(うつのみやけんじ)を支援することを発表した。
これにより与党対野党、小池都知事対宇都宮氏の構図が立つ。
宇都宮氏は過去に2度(2012・2014)、共産・社民の支援を受け都知事選に出馬している。両選挙で2位につけている。2016年には野党が鳥越氏を支援したことを受け、出馬を断念した。
政権与党と野党が独自候補を擁立しなかったのは極めて異例だ。小池都知事の支持率の高さや来年と予想される衆議院選挙を前に、独自候補での敗戦を避けたい考えだ。
実際のところ、立憲は宇都宮氏支援を表明する前に元文科省・前川喜平氏と党副代表蓮舫参議院議員に出馬を打診し断られたと報じられた。
野党4党の一角を担う国民民主党は宇都宮氏支援にまわっていない。国民民主には小池氏が代表を務めた希望の党出身の議員が多いため、対立に抵抗があるという。
他に出馬を発表している候補者は以下の通り:
立花孝志氏(NHKから国民を守る党代表)
小野泰輔氏(熊本県副知事)
桜井誠氏(日本第一党党首)
竹本秀之氏(山口県宇部市のトレーダー)
石井均氏(フリージャーナリスト)
西本誠氏(歌手)
今後の投稿日程
今後の記事は都知事選候補・政策についてできるだけわかりやすく説明することを心がけて投稿します。
情報を一箇所にまとめることで面倒に思える情報収集をできるだけ簡単にしていくつもりです。できるだけ多くの都民に投票してほしい、その思いでやっています!
現時点で予定している投稿日程と内容については以下の通り:
- 都知事の権限とは?(6月8日~10日)
- 候補者プロフィール(正式に出馬を発表した順に)
- 分野ごとの政策比較(候補者が出揃った段階)
- 1週間の都知事選ニュース総括(毎週土曜)
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写真: MASA (CC BY-SA 4.0)