I. 今週のニュース
新型コロナ
新型コロナ情報 (基本毎日更新):
- 緊急事態・蔓延防止等に関する情報: 内閣官房、「緊急事態宣言」、https://corona.go.jp/emergency/
- ワクチン接種等に関する情報: 首相官邸、「新型コロナワクチンについて」、https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html
- 世界の接種状況の比較: 「チャートで見るコロナワクチン 世界の接種状況は」、日本経済新聞、https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-vaccine-status/
- 都道府県ごとの新規感染者数: 「特設サイト: 新型コロナウイルス」、NHK、https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data/
- 東京の新規感染者数・病床使用率: 東京都、「都内の最新感染動向」、https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
1. 3県で新たに緊急事態宣言発令
- さらに首相は、新たに群馬、石川、熊本を蔓延防止等重点措置下に置くと発表した。措置の期間は5月16日から6月13日。
- 首相は全国一律の措置より地域ごとに対策する方が良いと述べた。西村康稔経済再生担当相も水曜、全国一律の緊急事態宣言には慎重な姿勢を示した。これらの発言は全国知事会が変異株による感染者急増に対応するため、より強力な措置を要請したことを受けて発せられた。
- 立憲民主党の安住淳国会対策委員長は金曜、戦略的でない、毎週宣言下に置かれる都道府県の追加だけを続ける政府では信頼が崩れると述べた。
2. 変異株に対する懸念が高まる
- 政府は木曜、ゲノム解析やその他の手段を用いてインド株の全国的な監視体制を強化する方針であるとした。 また、田村憲久厚生労働大臣は水曜、月曜の段階でインド株が70件検出されたと述べた。
- 日本はさらに、金曜から水際対策を強化し、過去2週間以内にインド、パキスタン、またはネパールに渡航した、原則すべての外国人の入国を拒否する。
- 政府の甘い水際対策はすでに批判の対象となっており、ある自民党議員は対策について「水漏れでなく水浸し」と表現した。政府は水曜、自民党内の会合において、4月に1日最大300人が海外から帰国後、自らの居場所を保健所に報告せず、自主隔離をせずに過ごしていたことを明らかにした。
- 水曜時点で、21の都道府県は直近1週間の人口10万当たりの感染者数が「ステージ4」相当の25人を超えていることがわかった。そのうち7都道府県は緊急事態宣言・蔓延防止等重点措置下に置かれていない。
3. 緊急事態における対応の違いが混乱を招く
- 日本は水曜、正式に緊急事態宣言の延長期間に入った。先週、愛知と福岡が追加された。
- 政府は、6都道府県で酒類を提供する飲食店に休業を要請している。大規模イベントは原則、延長期間においては会場の収容人数半分か5000人までを入れることができる。ショッピングモールなどの大規模商業施設は夜8時まで営業可能となる一方、東京都と大阪府は休業要請を継続させる。
- 大規模商業施設では、「必需品」を販売する特定のエリアは営業可能となっている。東京の多くの施設は、この解釈を広げ、衣料品売り場の営業を再開した。また、劇場・演芸は営業できる一方、映画館は休業要請が続いていることが発端となり、火曜には東京都庁の前で抗議が起こった。
- 東京都の国立文化施設の営業再開においても、政府と都道府県の政策の乖離が見られた。萩生田光一文部科学大臣は火曜、施設の休業継続を発表した。
- 文科省の外局にあたる文化庁は当初、都内の5つの国営施設を営業再開する予定だったが、小池百合子知事は月曜、都の感染対策に合わせ休業を継続するよう要請した。
4. ワクチン接種の進捗
- 政府は金曜、外国の製薬会社からワクチンを購入するために、補正予算から約5100億円(47億ドル)を支出することを決めた。日本は、ファイザーから9月までに5000万回分、モデルナから2022年に5000万回分、ノババックスから2022年に1億5000万回分のワクチンを受け取る予定だ。
- 河野大臣は木曜、経団連に対し、産業医が職場での予防接種を行うことや「ワクチン休暇」導入などの対策の実施を検討するよう要請した。
- 横浜市立大学の研究チームが水曜に発表したデータによると、ファイザー製ワクチンを2回接種した人の9割以上が英国、南アフリカ、ブラジル、インド型のへ変異株に対する抗体を持っている。
- セールスフォースによって引き起こされたシステムの不具合により、水曜のネット上のワクチン予約が一時中断された。 少なくとも11の自治体、そして全国のワクチン配布量と在庫を追跡する政府のデータベースV-SYSも影響を受けた。
- 神戸市は水曜、集団接種会場でワクチンを間違えて常温で3時間放置したため、960回分を廃棄すると発表した。 常温で放置した場合、安全に使用するためにワクチンを2時間以内に薄める必要がある。
- 茂木敏充外務大臣は火曜、日本とGAVIが共催するCOVAXワクチン・サミットが6月2日にオンラインで開催されると発表した。菅首相と茂木外相はワクチンへの公正なアクセスを促進するために開催されるこのサミットに出席する。
- 塩野義製薬は月曜、同社が最終段階の臨床試験を実施している間に政府がワクチンを時別承認すれば、最初の国内ワクチンを年内に提供できるとした。 同社はまた、年末までに生産能力を1000万回から3000万回に増やす予定だ。
- 日本製薬工業協会は先週の金曜、アメリカが支持する製薬会社によるワクチン特許権の一時的放棄に反対し、権利放棄は、ノウハウ、人員、および材料が全ての国々に平等に行き渡っていない現状からして、供給の増加にはつながらないと主張した。
5. 集団接種会場の準備が進む
- 政府のデータによると、月曜の時点で、医療従事者の24%が2回の接種を終えているのに対し、高齢者の1%未満が1回目の接種を終えている。政府は、7月末までにすべての高齢者の2度の接種を完了させるべく、1日あたり100万回の接種を目指している。
- しかし、東京と大阪の大規模接種センターは、1日あたり合計1万5000回の接種にしか届かないとされている。日本の1741市区町村のうち、約1490(86%)が7月末までに高齢者の接種を完了すると見込んでいる。菅首相は木曜、一部の自治体が完了の見込みがないとしていることに対し、「ショックだった」と述べた。
- AERAは月曜、政府が「自衛隊主導」の大規模接種センターのため、防衛費から約37億円(約3400万ドル)を支出し、200人の医療従事者とその他スタッフを集めることにしていると報じた。報道によると、自衛隊の人員が不足しているため、民間の人員を登用することになった。
- 東京と大阪の大規模接種センターの接種予約は、5月17日からネット上とLINEで開始される予定だ。東京都23区と大阪市の65歳以上の高齢者は5月24日から30日まで予約でき、東京都と大阪府の他地域は5月31日から6月6日まで、首都圏(埼玉、神奈川、千葉)、京都府、兵庫県ら近県は6月7日より予約が可能となる。
- 菅首相は木曜、政府が接種のスピードを上げるために、東京駅と大規模接種センターの間を結ぶバスを提供する方針であると明らかにした。 大阪でも同様の計画が立てられている。
- 東京都は月曜に会議を開き、首都のワクチン接種を行う医療従事者と大規模接種センター用の土地が不足している点について話し合った。東京では高齢者の1%未満が接種を受けており、都内の3分の1の自治体は7月末までに高齢者の接種を完了する見込みがないとしている。
- 厚生労働省は先週の金曜、各都道府県でモデルナ製ワクチンを使用した独自の大規模接種センターを設置することを検討するよう全国の知事に要請した。
外交・防衛(安全保障)
6. 菅首相、6月のシャングリラ会合で基調講演を行う予定
- 加藤勝信官房長官は火曜、菅首相と岸信夫防衛相が6月4日から5日にかけてシンガポールで行われる国際戦略研究所が主催するシャングリ・ラ会合に出席することを明らかにした。日本の首相が出席すれば2014年の安倍晋三氏以来7年ぶり。
- 菅首相は世界40カ国以上から集まった重職の防衛政策立案者が出席したイベントの基調講演者になる方向で調整が進んでいる。 首相は自由で開かれたインド太平洋を呼びかけ、東シナ海・南シナ海における中国の海洋進出について懸念を示すと見られている。
- 岸氏とロイド・オースティン国防長官は、会議の場で、台湾やサイバーセキュリティーに関する脅威など、差し迫った問題について話し合うと見られている。
7. 日米関係
- 二国間では、瀧澤内閣情報官が火曜に国家情報院(NIS)の朴智元院長と会談し、北村滋国家安全保障局長はアメリカのヘインズ国家情報長官と会談した。
- 陸上自衛隊は火曜、中国の存在感が高まる中、協力を強化するために、日本の領土で初めて米国とフランスとの共同訓練を開始した。
- フィナンシャルタイムズは火曜、元シカゴ市長のラーム・エマニュエル氏が駐日米大使に任命されると報じた。日本政府は、エマニュエル氏の率直さに対する評判についていくつかの懸念を持っているようだが、任命を歓迎すると見られている。
8. 今週の首相の動向
- 菅首相は木曜、トルクメニスタンのグルバングル・ベルディムハメドフ大統領と電話で話し、さまざまな分野での協力を強化することで合意した。 また首相は、中央アジアの発展を支援する意向を表明した。
- 首相は水曜に朴智元院長に会い、文在寅大統領の二国間関係の改善を希望するメッセージを受け取った。 朴院長は同日、自民党の二階俊博幹事長と電話会談し、後者がパンデミック収束後、韓国を訪問する方針で合意した。
- 首相は水曜、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領とウズベキスタンのシャフカット・ミルジヨーエフ大統領と別々に電話会談し、中国の東シナ海・南シナ海での一方的な現状変更の試みや、 香港と新疆ウイグル自治区においての人権問題についての懸念を表明した。
- 首相は火曜、ベトナムのグエン・スアン・フック大統領と約20分間の電話会談を行い、中国の東シナ海・南シナ海での一方的な現状変更の試みについて懸念を表明した。 両者はまた、ミャンマー情勢を改善するために他のASEAN諸国と協力することで合意した。
9. その他外交・防衛ニュース
- 自民党のプロジェクトチームは金曜、ミャンマーと新疆ウイグル自治区の状況を踏まえ、政府に対し、人権を重視した外交を行うよう求める提言の骨子案をまとめた。 提言には、ジェノサイド条約への参加、日本版マグニツキー法の施行、人権分野でのODA拡張などが含まれている。
- 政府は、軍事クーデターの影響を受けたミャンマー国民に食糧を提供するため、約4億3000万円(約390万ドル)の無償資金協力を行うことを決定した。 日本はまた、酸素濃縮器と人工呼吸器の調達のため、インドにさらに20億円(約1850万ドル)の無償資金協力を行う予定。
- 中国外務省は金曜、日本の防衛白書の素案に強く反発した。 日本が台湾周辺の中国の活動を注視する必要があるとしたことについて、内政干渉していると抗議した。
- 時事通信は水曜、防衛省が陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替策として新造する「イージス・システム搭載艦」2隻を、艦隊を組まず、単独で運用することを検討していると報じた。この案は、艦隊を運用するために必要な人員を削減できるが、自己防衛能力については懸念が残る。
- 共同通信は日曜、日本企業10社がミャンマー軍と直接取引関係にあるか、軍事フンタの収入源となる可能性のあるプロジェクトに参加していると報じた。例としてあがるキリンは、軍の上層部が所有するミャンマー・エコノミック・ホールディングスとのパートナーシップを解消するのに苦労している。
- 茂木外相は先週の金曜、ポーランドで開催された「第7回ヴィシェグラードグループ外務大臣会合(V4)+日本」に出席した。 茂木外相は、保護貿易主義と一方的に現状を変える試みに対抗するために、EU内で影響力を高めているV4と協力することの重要性を強調した。
- 茂木外相とポーランド、ハンガリー、スロバキア、チェコ共和国ら各国の代表は、自由で開かれたインド太平洋、北朝鮮の非核化、そして接続性やサイバーセキュリティーなど多数の分野での「V4+日本」協力の重要性について話し合った。
10. 経済安全保障
- 政府は木曜、首相官邸で会議を開き、今後3年間の「サイバーセキュリティー戦略」の骨子をまとめた。 中国、ロシア、北朝鮮の関与が疑われるサイバー攻撃に対応すべく、セイバーセキュリティーの外交および安全保障での優先度を引き上げる。
- また、デジタル庁が今後主導するデジタル改革とともにサイバーセキュリティーを強化し、国の経済基盤を支えるインフラ関連の研究機関、教育機関、企業などと協力し、国全体のリスク軽減を図る。
- 日本経済新聞は日曜、民間の専門家が日米協力を強化するための先端半導体研究所を設立する提言をまとめたと報じた。 提言では、両国が台湾に供給を頼る現状から脱却するよう求めた。
- サプライチェーンの多様化は今に始まった事ではない。 日本企業は韓国と台湾で生産力を強化しており、化学および製薬セクターのFDIは、特に半導体生産に必要な化学物質において2019年度成長していた。
国内政治
11. 国会
- 立憲民主党と共産党は金曜の衆議院内閣委員会において、与党が内閣官房参与の高橋洋一氏の参考人聴取を認めなかったことに反発し、審議の途中で退席した。 高橋氏は月曜、新型コロナ感染者数に関して、「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」とツイッターに投稿し、批判された。
- 国会では木曜、9月1日にデジタル庁を設立する法案を含む6つのデジタル関連法案が成立した。 デジタル庁は、行政のオンライン化を促進し、利便性を向上させるため、マイナンバー制度の利用を拡大し、国および地方自治体全体でシステムを統合する司令塔になる。
- 衆議院は水曜、憲法を改正するために必要な国民投票の実施方法を規定する国民投票法改正案を可決した。参議院憲法審査会は5月19日から法案の審議を開始し、与党は6月9日までに採決に持ち込みたいと考えている。
- 衆議院は火曜、国家安全保障において重要な施設の近くの土地の売買と使用を制限する法案について審議を開始した。政府は、自衛隊施設、原子力発電所、国境近くの離島などの重要施設から約1キロ以内の地域を「注視区域」に指定し、土地の所有者や国籍を調査することができる。
- また政府は、自衛隊本部や領域の端に位置する無人島などの特に重要な地域を「特別注視区域」に指定することができる。後に設定された面積以上の土地を売買するには、土地所有者が名前と国籍を開示する必要がある。
- 日本維新の会と国民民主党は、法案の修正を要求しており、政府に国会への事前報告、地方自治体の意見を求めてからの決定、勧告の対象となる法律違反を明確にするよう求めている。
- 衆議院は火曜、社会保障制度を再構築する目的で、75歳以上で年収200万円以上の人を対象に、医療費の窓口負担を2割に引き上げる法律の改正案を可決した。政府は2022年10月から2023年3月の間に法案を施行する予定。
12. 野党、入管法改正案をめぐって法務委員長の解任決議案を提出
- 野党は金曜、政府が入管施設で拘束されている間に死亡したスリランカ人女性のビデオ映像を直ちに開示することを拒否したことに対して、衆議院法務委員会の義家弘介委員長解任決議案を提出した。立憲民主党の枝野幸男代表は火曜、廃案を目指す考えを明らかにした。
- 与党は、今国会で法案を成立させるため、野党の修正案を受け入れたが、映像の開示は入国管理局が最終報告を完了するまでしないと拒否した。 野党は金曜、与党の投票に持ち込む動きを阻止するべく、委員長の解任決議案を提出した。
- 野党が提示した10の修正点を含む案には、外国人が3回目以降の難民申請をしている間でも国外追放を可能とする条項を削除することなどが含まれている。
- 自民・立憲の国会対策委員長は水曜、野党が入管施設でのスリランカ人女性の死について適切な調査が必要だと主張し、問題の審議を拒否した後、法案の採決を延期することで合意した。
- 与党は当初、不法滞在などの理由で国外退去処分を受けた外国人が出国を拒否し、入国管理施設に長期間拘留された一連の事案に対応するため法案を提出した。
13. 経済状況
- 菅首相は金曜の経済財政諮問会議で、新型コロナによる賃金格差を是正する手段として、最低賃金の全国平均を1000円に引き上げる考えを強調した。
- アジア全域の株価は、米国の消費者物価上昇がインフレ懸念と金利上昇に拍車をかけたことにより、下落を続けた。日経平均株価は木曜に699ポイント下落し、4ヶ月ぶりの最低水準となった。 経済が緩やかに正常化するにつれ、ハイテク株の勢いが低下する兆候がある。
- 総務省統計局が火曜に公表したデータによると、2020年の日本の実質消費支出は2019年から4.9%減少し、2001年にデータが集計されるようになって以来2番目の大きな減少となった。新型コロナは旅行や外食を減らし、家庭で使用される商品・サービス(巣ごもり需要)への支出を増やした。
- 日本経済団体連合会(経団連)は月曜、住友化学の十倉雅和会長が、健康上の理由で辞任する中西宏明会長(日立)の後任となると発表した。十倉氏は、経団連を「株主優位」から「社会全体」を考える組織に変えると述べた。
- コンテナ船運航会社は、家庭で使用される商品の需要(巣ごもり需要)が高いことと、新型コロナによるコンテナの不足により、好調だ。 日本郵船と川崎汽船は、今年いずれも過去最高となる1,392億円(昨年の4.5倍)と1,086億円(20.6倍)の純利益を記録した。
- 東京商工リサーチが月曜に公表したデータによると、新型コロナによる倒産は時間の経過とともに規模が拡大している。昨年4~6月(緊急事態宣言)は10億円以上の借金で倒産した企業が30社を記録したが、今年の1~3月期もそれに迫る20社が倒産した。
- 財務省は月曜、国債などの残高を合計した「国の借金」が2020年度末で前年度比101.9兆円増で過去最大の1216兆4634億円に達したと発表した。新型コロナ対策用の補正予算と増え続ける社会保障の支出が大きく影響した。
14. 政府とIOC、オリ・パラ準備を進める
- 組織委員会の橋本聖子会長は金曜、日本を訪れる大会関係者とメディア関係者の数を18万人から9万人に減らす考えを示した。 橋本会長は、これにより新型コロナ対策が容易になると述べた。
- 丸川珠代オリンピック大臣は金曜、45の自治体が新型コロナのリスクと地域医療の逼迫への懸念から、大会前の事前合宿と交流事業を中止すると明かした。
- 45の自治体のうち32の自治体では相手国・地域側が申し出た。水曜にはアメリカの陸上チームが事前合宿を中止すると発表していた。
- 元東京都知事候補の宇都宮健児氏は金曜、小池百合子東京都知事に大会の中止を求める要望書を提出した。要望書には35万以上の署名が集まった。 小池都知事は、大会を開催する旨を再度繰り返した。
- 菅首相は木曜、森田健作前千葉県知事との昼食会で、新型コロナの新規感染者数が急増している中、オリンピックを開催する決意を再度述べたという。今週、新規感染者数の急増により、少なくとも4つの都道府県が聖火リレーの中止または短縮を余儀なくされた。
- 全国医師ユニオンは木曜、厚労省にオリンピックの中止を求める要請書を提出した。 外国人アスリート・スタッフを国内に入れることは、国内の感染急増ですでに逼迫している医療をさらに追い込むだけだと主張した。
- 水曜の報道によると、約280人の認定スポーツ医師が大会中、診療所のボランティアスタッフとして働くために定員200人の募集に申し込んだ。
- 自民党の二階俊博幹事長は月曜の記者会見で、国は大会を開催するかどうかについて「慎重な判断」をしなければならないと述べた。 二階氏は4月15日にした同様の発言を撤回したこともあった。
- 立憲民主党の枝野代表は月曜、新型コロナによりオリンピックの開催が困難になったと述べた。 枝野氏はさらに、大会を開催することは「ほぼ不可能」だろうと述べた。
選挙
15. 解散総選挙は秋になる模様
- 時事通信は金曜、自民党議員の間でオリンピック開催についての懸念が広がっていると報じた。大会が感染者数のさらなる増加につながり、選挙に影響を及ぼす可能性があるという。
- 党内には小池都知事が7月の東京都議会選挙で、オリンピックを開催すべきかどうかを投票者に問う、いわゆる「国民投票」を行うのではないかと懸念する声もある。
- 菅首相は、新型コロナの状況と解散に踏み切る大義とされてきた野党による不信任決議が事実上なくなったことにより、解散を延期する可能性が高い。
- 立憲民主党の枝野代表は月曜、新型コロナの対応を優先し、過去数か月にわたってチラつかせてきた内閣不信任決議は出さないと述べた。新型コロナ蔓延の最中に政権奪取を優先するよりも、党が国民のことを考えているというアピールだと見られている。
- 他方では、10人の女性議員からなる超党派の勉強会が水曜、初会合を開催し、候補者などの一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」の実現について話し合った。座長を務めるジャーナリストの田原総一郎氏は、国会の3分の1が女性議員になることを目標にしている。
その他の注目すべきニュース
- 政府、「森友問題」の再調査はせず: 菅首相は木曜、政府が国有地を学校法人森友学園に市場価格より低く売却した2017年のスキャンダルを再調査しないとした。 首相は、財務省と検察がそれぞれ調査を実施し、すでに結論に達していると述べた。 麻生太郎財務大臣も火曜、再調査は行われないと強調した。 これらの発言は、先週、財務省が文書を改ざんした過程を記録した「赤木ファイル」の存在を政府が認めたことに対してのもの。
- ソフトバンクが日本企業過去最高の年間利益を報告: ソフトバンクグループは水曜、2020年度の純利益が日本過去最高の4.98兆円(約460億ドル)に達し、アップルとサウジアラムコに次ぐ世界第3位の収益性の高い企業になると報告した。 グループの主要投資手段であるビジョンファンドは、DoorDashやその他の持ち株が公開されたことで好調だった。 グループが投資したテクノロジー企業に対する成長期待を後押ししているのが、新型コロナによって加速したリモートワークと消費者サービスへの移行だ。
II. 世論調査
- 月曜に公表された読売新聞の世論調査では、菅内閣の支持率は43%(4月から4%減)、不支持は46%(4月から6%増)だった。
- 回答者の44%は不支持の理由とし、首相の指導力のなさを挙げ、28%は政策に期待できないと答え、14%は首相が信頼できないと答えた。
- 回答者の23%は河野太郎が次期総理にふさわしいと答え、19%は石破茂、14%はいない、13%は小泉進次郎、11%は安倍晋三、4%は菅義偉とそれぞれ答えた。
- 回答者の23%(同様の質問をした昨年2月以降最低)は政府のこれまでの新型コロナ対応を評価した一方、68%は評価しないと答えた。
- 回答者の43%は緊急事態宣言の月末までの延長について短すぎると答え、39%は適切、8%は長すぎると答えた。
- 回答者の52%は急がないがワクチン接種は受けたいと答え、30%はすぐに受けたい、12%は受けたくない、5%はすでに受けたと答えた。
- 回答者の70%は4月の日米首脳会談で、日米が連携して中国に対抗する姿勢を打ち出したことを評価したが、19%は評価しなかった。
- 回答者の47%は台湾を巡ってアメリカと中国が対立する中で、日本が集団的自衛権を行使できることを評価した一方、41%は評価しなかった。
- 回答者の51%は政府が福島第一原子力発電所の処理水を、放射性物質の濃度を薄めた上で、海に放出する方針を決めたことを評価したが、40%は評価しなかった。
- 回答者の77%は菅首相が掲げた2030年度までに、温室効果ガスの排出量を、2013年度から46%削減する目標を達成できると思わないとした一方、14%は達成できると答えた。
- 回答者の59%はオリンピック・パラリンピックを中止するべきと答え、23%は観客を入れずに開催すべき、16%は観客数を制限して開催すべきだとした。
- 世論調査は各政党の支持率に関するデータも集計している。
政党名 | 支持率 (%) |
自由民主党 | 37 (-2) |
公明党(自民と連立政権を組む) | 2 (-1) |
立憲民主党 | 7 (+2) |
日本維新の会 | 2 (±0) |
国民民主党 | 1 (+1) |
日本共産党 | 2 (±0) |
社会民主党 | 0 (±0) |
NHK受信料を支払わない方法を教える党 | 0 (-) |
れいわ新撰組 | 0 (±0) |
支持政党なし | 44 (+1) |
- 金曜に公表された時事通信の世論調査では、菅内閣の支持率は32%(4月から4%減)、不支持は45%(4月から7%増)だった。支持率は政権発足以来最低となった。
- 月曜に公表されたNHKの世論調査では、菅内閣の支持率は35%(4月から9%減)、不支持は43%(4月から5%増)だった。
- 回答者の40%は不支持の理由とし、政策に期待できないと答え、39%は首相の指導力のなさを挙げ、9%は首相が信頼できないと答えた。
- 回答者の40%は「大いに」、あるいは「ある程度」新型コロナに感染する不安を感じると答えた一方、11%は感染する不安はないと答えた。
- 回答者の32%は「大いに」、あるいは「ある程度」政府の新型コロナ対応を評価した一方、63%は評価しなかった。
- 回答者の88%は「大いに」、あるいは「ある程度」変異ウイルスに不安を感じている一方、9%は不安を感じていないと答えた。
- 回答者の56%は緊急事態宣言の延長について、「大いに」、あるいは「ある程度」感染防止の効果があるとした一方、39%は効果が「あまりない」、あるいは「まったくない」と答えた。
- 回答者の82%は政府主導のワクチン接種の進み具合が遅いとした一方、9%は順調だと答えた。
- 回答者の49%はオリンピック・パラリンピックを中止するべきと答え、23%は観客を入れずに開催すべき、19%は観客数を制限して開催すべき、2%は予定通り開催すべきだとした。
- 回答者の29%は政府が福島第一原子力発電所の処理水を、放射性物質の濃度を薄めた上で、海に放出する方針を決めたことを評価したが、22%は評価しなかった。
- 回答者の54%は憲法改正に向けた議論を進めるべきだとした一方、27%は進めるべきではないと答えた。

- 世論調査は各政党の支持率に関するデータも集計している。
政党名 | 支持率 (%) |
自由民主党 | 34 (-3) |
公明党(自民と連立政権を組む) | 3 (-1) |
立憲民主党 | 6 (±0) |
日本維新の会 | 2 (±0) |
国民民主党 | 1 (+1) |
日本共産党 | 3 (±0) |
社会民主党 | 0 (±0) |
NHK受信料を支払わない方法を教える党 | 0 (-) |
れいわ新撰組 | 0 (±0) |
支持政党なし | 44 (+4) |
Image: Captain76 (CC BY-SA 3.0)
完。
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