I. 今週のニュース
新型コロナ
新型コロナ情報 (基本毎日更新):
- 緊急事態・蔓延防止等に関する情報: 内閣官房、「緊急事態宣言」、 https://corona.go.jp/emergency/
- ワクチン接種等に関する情報: 首相官邸、「新型コロナワクチンについて」、 https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html
- 世界の接種状況の比較: 「チャートで見るコロナワクチン 世界の接種状況は」、日本経済新聞、 https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-vaccine-status/
- 都道府県ごとの新規感染者数: 「特設サイト: 新型コロナウイルス」、NHK、https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data/
- 東京の新規感染者数・病床使用率: 東京都、「都内の最新感染動向」、https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
1. 4度目の緊急事態宣言を発令
- まん延防止等重点措置については、埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県を対象に7月11日の期限を8月22日にまで延長するとした。また、北海道、愛知、京都、兵庫、福岡の5県は11日に対象から外れる。
- 菅義偉首相は会見で、感染再拡大が止まらなかったことで再度緊急事態宣言を発令する判断を下したと説明した。報道によると、政府はお盆休みも含めた期間、対策強化が必要と判断し、8月22日までを期間にした。
- 東京都のモニタリング会議に参加した専門家は木曜、今後も同様のペースで感染拡大が続けば、4週間後の8月4日には1日当たりの新規感染者数が約1,500人となるとの予測を示した。直近の7日間平均の新規感染者数は625.4人で、前週の502.7人を大きく上回った。
- データによれば、ワクチン接種の影響もあり、都内で65歳以上の感染者の割合が6%程度と少ない一方、40~50代の重症者数は増加している。
- 厚生労働省は水曜、インド由来のデルタ株に国内で感染した人が、月曜までの1週間に20都道府県で前週比80人増、確認されたと発表した。累計では304人となり、そのうち最多は東京の61人となっている。
2. 政府、酒類の締め付け強化
- 東京都と沖縄県では、飲食店に対して酒類提供停止と午後8時までの営業時間短縮を要請する。まん延防止等重点措置が適用されている府県も同様だが、知事の判断で緩和できるようになっている。
- 首相は要請に応じる飲食店に対しては協力金を事前に支払うことを可能とすると述べた。協力金支給の遅れを指摘されての対応となった。
- また政府は、酒類販売事業者に対し、政府の要請に応じず酒類提供を続ける飲食店との取引を止めるよう要請すると明らかにした。さらに要請を拒む飲食店の情報を取引金融機関に流し、順守を働き掛けてもらうことも検討していた。
- こうした西村康稔経済再生担当大臣の発言を受け、加藤勝信官房長官は金曜、誤解を招く発言を修正し、金融機関への働きかけは行わないと明言した。当初の発言では、要請を拒む飲食店への融資を断ち切るよう求めているようにも聞こえる。
- 東京都と沖縄県では、政府の方針に沿って飲食店への酒類提供停止と午後8時までの営業時間短縮を要請する一方、大阪は独自の感染対策を講じた飲食店での酒提供の人数制限を原則2人以内から4人以内に緩和する。
- また、大規模イベントについては、人数上限5,000人かつ収容率50%の制限があり、午後9時までの時間短縮も求められる。都は大型商業施設への休業要請は行わず、百貨店は午後8時まで、映画館やテーマパークなどは午後9時までの営業時間短縮の要請を継続するとした。
- 街頭では4度目の緊急事態宣言の効果を疑問視する声があった。中には、危機感が薄れている中で宣言を出すことに、どれだけ意味があるのか問う人もいた。さらに、オリンピックが宣言下で行われることについては「そこまでしてやる意味が分からない」「特別扱いは納得できない」と疑問の声が相次いだ。
3. ワクチン接種予約が供給を上回る
- 政府は木曜、都道府県に供給したファイザー製のワクチンのうち接種に使用された量の割合が大阪や東京で5割を下回っていることを明らかにした。厚生労働省の計算によると、最大3,800万回分の余りが全国で在庫として保管されている。
- 政府がこれらの在庫を自治体に活用するよう求めている一方、自治体からは2回目の接種のために確保している分やすでに使用したものの接種記録の入力が追いついていない分もあり、実際に余っているワクチンは限られているという声が相次いでいる。
- 田村憲久厚生労働大臣は水曜、接種が進んでいる自治体と進んでいない自治体の間でワクチンの在庫のミスマッチが生じていると指摘した。
- 田村大臣によると、政府は6月末までに約9,000万回分を自治体向けに配送しており、そのうち約5,000万回はすでに接種に使用され、市中に約4,000万回ぐらいの在庫があると説明した。
- コロナ禍からの社会・経済の回復度合いを示す「日経コロナ回復指数」によると、日本は6月末時点で43位となった。スコアが特に低かったのは検査数、人口一人当たりの感染者数、そして政策・規制の厳格さ。
- 計画はワクチン不足を懸念し、今後の供給スケジュールを早期に示すよう求める自治体側の声に配慮し、公表された。
- 8月からは、都道府県が運営する大規模接種会場に2週間で約59万回分を割り当て、新たに市区町村の人口などに応じ配分する「裁量枠」として約176万回分を都道府県に割り当てることにしている。
- 残る約936万回分は、自治体の人口に応じて配分するが、「6週間分以上」の在庫を抱える自治体への配分数は1割削減する。9月の配分方法は職域接種の進捗状況を踏まえて決めることとなる。
- また河野大臣は、モデルナ製ワクチンについて、日本への6月末までの供給量が当初計画の4,000万回分から1,370万回分へ約6割減っていたと明らかにした。モデルナに対する世界的需要が非常に厳しい中でこういう判断がなされたと説明した。
- 当初計画の減少分は9月末までに供給され、「9月末までに5000万回分」という計画全体には影響しないと強調した。
- 厚生労働省は月曜、7月19日から2週間に配るファイザー製ワクチン約1,240万回分の配分量を自治体に事務連絡した。
- モデルナ社製の使用を保留されている「大規模接種」会場向けとして、9都府県に約57万回分、78市区町に約158万回分を配分することになる。
- 厚労省は接種のあと発熱が2日以上続く人などは、副反応でなく、新型コロナウイルスによる症状の可能性もあるとして、医療機関の受診を呼びかけている。専門家によれば、ワクチンの副反応か、新型コロナの症状か、判断がつかないことがある。
- 野村総研の研究室長が土曜に菅首相に提示した試算によると、1日120万回に上る直近の接種ペースが続けば、8月30日に人口の4割で2回の接種が終わる。職域接種を加味すると、終了時期は21日に早まる。
外交・防衛(安全保障)
4. 日米関係
- 梶山弘志経済産業大臣は先週金曜、アメリカで気候変動問題を担当するジョン・ケリー特使と電話会談した。
- 梶山大臣は、2050年の脱炭素社会の実現に向けて政府がまとめた「グリーン成長戦略」について説明し、気候変動やエネルギー分野における日米協力について意見交換した。
5. 外交関連ニュース
- NHKは水曜、茂木敏充外務大臣が来月中旬にも新政権が誕生するイランを訪問し、外相らと会談する方向で調整に入ったと報じた。
- 大臣はライシ次期大統領のもと、イランが中東地域の緊張の緩和と情勢の安定化に向けて、建設的な役割を果たすよう求めるとみられている。大臣は、今回のイラン訪問に合わせて、イスラエルとパレスチナ暫定自治区、エジプト、ヨルダン、トルコ、イラク、カタールを歴訪する予定。
- 政府関係者は水曜、韓国の文在寅大統領がオリンピックに合わせて訪日する場合、菅首相との会談を設定する検討に政府が入ったと明らかにした。
- 両氏にとって対面対談は実現すれば初となるが、日本側は、韓国が日韓関係改善に向けた具体策を示さない限り、短時間の儀礼的な会談にとどめる考えで、本格的な首脳会談に応じるかどうかは韓国側の出方次第としている。
- 菅首相は木曜、文大統領が訪日した場合、外交上、丁寧に対応するのは当然だと述べ、会談に応じる意向を示したが、引き続き歴史問題などに関して適切な対応を強く求める立場に変わりはないとも述べた。
- 茂木大臣は火曜、台湾に対し木曜、およそ113万回分のアストラゼネカ製ワクチンを追加で提供すると発表した。日本はすでに先月、台湾におよそ124万回分のワクチンを提供している。
- 政府は同日、フィリピンとベトナムにワクチンを送り、金曜にはタイへも空輸する予定だ。
- 茂木大臣は土曜、バルト三国への歴訪を終え、締めくくりにオンライン記者会見を開いた。大臣はエストニア、ラトビア、リトアニアと中国の覇権主義的行動への懸念を共有するとともに、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて具体的な協力を進めていくことで一致したという認識を示した。
6. 防衛関連ニュース
- 政府は水曜、3年間の基本指針となる「次期サイバーセキュリティ戦略案」をまとめ、中国やロシア、北朝鮮が、サイバー能力を増強させて、情報を盗み取ることなどをねらったサイバー攻撃を行っているとみられていると指摘した。
- 政府は外交・安全保障上のサイバー分野の優先度をこれまで以上に高めるとともに、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、アメリカやオーストラリア、インドのほか、ASEAN=東南アジア諸国連合などとの協力を積極的に推進するとしている。
- 戦略は早ければ9月に閣議決定される。また、政府は2022年度予算の概算要求で大規模サイバー攻撃への対策強化や重要インフラの防衛力向上を重点項目とする案を決めた。
- 加藤官房長官は火曜、台湾有事について、いかなる事態が存立危機事態に該当するかは、個別具体的な状況に即して、さまざま情報を総合して客観的、合理的に判断するため、一概に申し上げることは困難だと述べた。
- 加藤氏は麻生太郎副総理が月曜、中国が台湾に侵攻した場合、安全保障関連法が定める「存立危機事態」に認定し、限定的な集団的自衛権を行使することもあり得るとの認識を示したことに関する質問にこう答えた。
- 安全保障関連法が定める「存立危機事態」は、日本と密接な関係にある他国が攻撃され日本の存立が脅かされる明白な危険がある事態で、集団的自衛権を行使する際の要件の一つ。
- 海上自衛隊は月曜、6月30日から7月3日にかけてアメリカ、韓国、オーストラリアの海軍と共同訓練したと発表した。
- 4カ国は「自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた連携強化」を図るため、電磁波を使って敵を妨害する電子戦や艦艇の戦術運動、通信訓練を行った。日韓が訓練を共にするのは、昨年9月に今回と同じ4カ国で実施して以来となる。
- 岸信夫防衛大臣は火曜、スリランカのラジャパクサ大統領とテレビ会談し、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序の重要性を発信していくことを確認したうえで、両国の防衛協力をさらに進めていくことで一致した。
- この会談を前に、海上自衛隊は6月30日、アメリカとスリランカの共同訓練(CARAT) に初めて参加した。
- 岸大臣は火曜、ロシア海軍が水曜から日本の排他的経済水域を含む日本海の海域でミサイル発射訓練を行うことを把握しているとしたうえで、沿岸国である日本の権利などを損なうことがないよう求めた。動向を注視する考えも示した。
- 防衛省は同日、日曜にロシア海軍のミサイル巡洋艦やミサイル観測支援艦など計7隻が、沖縄本島と宮古島の間を北上するのを確認し、日本海に向かったことを発表した。ロシア軍艦による同海域の通過を防衛省が発表するのは昨年12月以来。
- 自民党の外交部会は先週木曜、政府に2015年日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を改訂し、台湾海峡など中国が関わる情勢への対応を重点に置くよう求める提言を提出した。
- 自民党の国防部会と安全保障調査会も最近、中国の軍事拡張に対応すべく、防衛費の大幅増額を求める提言をまとめた。
国内政治
7. 政治動向
- 菅首相は木曜、新型コロナ感染拡大で打撃を受けた経済を立て直すための2021年度補正予算編成について、経済の状況を見ながら臨機応変にしっかり対応すると述べ、前向きに検討する考えを示した。自民党の二階俊博幹事長は30兆円規模の補正予算を編成すべきだと主張した。
- 立憲民主、共産、国民民主3党の国対委員長は木曜、新型コロナの感染再拡大を受けた不測の事態に備えるため、オリンピック開幕前にも臨時国会を召集するよう求める方針で一致した。
- 野党は政府・与党が要求を拒否すれば、憲法53条(いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない)に基づく召集を求める構えだ。
- 検察側は木曜、カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件で、収賄と組織犯罪処罰法違反の罪に問われた衆院議員秋元司被告について、懲役5年、追徴金約760万円を求刑した。
- 検察側は、4件の収賄は秋元被告がIR担当副大臣に就任した直後から行われ、同被告は主体的かつ積極的に関与したと主張。起訴内容を一貫して否認するなど、反省の態度はみじんもうかがえないとした。さらに、刑事罰を免れるため最も露骨な罪証隠滅工作として証人買収を行ったと非難した。
- 水曜、「こども庁」の創設に向けて、政府の作業部会の初会合が開かれ、加藤官房長官は、年末までに基本方針を取りまとめるよう指示した。
- 加藤官房長官は、年齢による切れ目や省庁間の縦割りを排除し、子どもの視点に立った政策を総合的に推進する必要があると述べた。
- 東京地検特捜部は火曜、河井克行元法務大臣がおととしの参議院選挙で妻の当選のために主導した買収事件をめぐり、現金を受け取った100人全員を不起訴にするという異例な判断を下した。
- 特捜部は、当時現職だった大臣から一方的に現金を渡されたケースが多いことなどを考慮したとしている。河井氏側は判決を不服として控訴している。
- 政府は火曜、北村滋国家安全保障局長を水曜付で退官させ、後任に秋葉剛男前外務事務次官を充てる人事を決めた。
- 菅原一秀元経済産業大臣は土曜、有権者に合わせておよそ80万円分の違法な寄付をしていたとして、公職選挙法違反で有罪が確定した。
- 菅原氏は去年、公職選挙法違反の罪で罰金40万円と公民権停止3年の略式命令を受け、土曜までに正式な裁判を開くよう求めることができた。しかし菅原氏は請求しなかったため、有罪が確定し、今後3年間、公民権が停止され、すべての選挙に立候補できなくなる。
- 自民党の森山裕国会対策委員長は、在任期間が、月曜で大島理森衆議院議長を抜き、歴代最長になった。森山氏は4年前より同役職に就いている。
8. 経済状況
- 野村総合研究所が木曜に公表した試算によると、東京都と沖縄県の緊急事態宣言は、GDPを1兆260億円、率にして年間0.19%押し下げることになり、失業者を4.1万人増加させる。
- みずほ証券はおよそ5,000億円、第一生命経済研究所はおよそ1兆円、それぞれGDPを押し下げると試算している。
- また野村総合研究所は、東京オリンピックが無観客で開催された場合、チケットの購入がなくなるなどして、オリンピックの経済効果が1,400億円余り目減りし、1兆6,640億円になると試算している。
- 日銀が木曜に発表した6月の「生活意識に関するアンケート調査」によれば、1年後の景況感が「良くなる」と答えた割合から「悪くなる」の割合を引いた景況感指数(DI)はマイナス14.9と、3月の前回調査より6.4ポイント悪化した。前回調査と比べマイナス幅が広がったのは5四半期ぶり。
- また、1年前と比べた現在の景況感DIはマイナス61.6と7.8ポイント改善したが、依然大幅なマイナス圏に変わりない。現在の物価に対する実感は、半数以上の人が「上がった」と回答した。
- また、非製造業のDIはプラス1で、3月調査から2ポイント改善した。3ヶ月後までの先行きについて、製造業はプラス13、非製造業はプラス3となった。
- 政府は水曜、2022年度予算の編成に向け各省庁が要求する際のルールとなる概算要求基準を了解した。
- 総額の上限は示さなかったが、要求総額は8年連続で100兆円を超える見通しだ。
- 自民党の下村博文政務調査会長は月曜、所得が少ない、住民税が非課税の世帯を対象に1人当たり10万円の給付を検討する考えを示した。
- 財務省は月曜、令和2年度の税収総額が、前年度比4.1%増で過去最高となる60兆8,216億円だったと発表した。
- 税収総額はこれまで55兆1,250億円と見積もっていたが、景気回復が進む海外の需要を取り込んだ製造業の業績が好調だったほか、「巣ごもり消費」の活性化で消費の落ち込みも限定的だったため、5兆6,966億円も上振れした。
- 財務省は税収上振れ分を財政健全化に役立てたい考えだが、与党からは今後編成が本格化する経済対策と令和3年度第1次補正予算案の財源に期待する声が強い。
9. オリンピック、首都圏の会場では無観客開催決定
- 政府、東京都、大会組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)の5者は木曜、東京の全ての会場で観客を入れずに大会を開催することで合意した。
- その後に行われた組織委員会と競技会場がある自治体などの会議で、まん延防止等重点措置が延長されることになった神奈川、埼玉、千葉の3県についても東京都と同様に無観客での開催が決まった。なお福島や北海道は当初観客が入る予定だったが、一転して全面無観客となった。
- 政府が東京都で緊急事態宣言を発令した直後の決断となった。大会運営に携わる5者は先月、国内の観客について会場の収容定員の50%以内で上限1万人を原則とすると決めたばかり。
- 一方、宮城と静岡は収容定員の50%以内で上限1万人とする原則で観客を入れ、茨城県は学校連携観戦チケットによって子どもたちの観戦のみ認めることになった。
- この決断によって大会の形態は大きく変わり、チケット配分からボランティアの配置、大会運営そのものが大幅に見直されることになる。
- 決断までに考慮されたオプションは主に2つであった。一つはまん延防止等重点措置下での政府のイベント制限方針である定員の50%以内で最大5千人に従い、チケット購入者数が5千人超の大規模会場と午後9時以降の競技を無観客とする案。この場合、全体の4割程度が観客なしになる見通しであった。
- これに関連して、萩生田光一文部科学大臣が火曜、国立競技場での感染リスクについて、スーパーコンピューター富岳での試算結果を公表し、1万人の観客に10人の感染者がいた場合でも、全員がマスクを着用し、観客の間に空席を設けることで、感染リスクを下げられると明らかにした。
- 与党内では、東京都議選で自民党が事実上敗北したことを受け、世論には政府の新型コロナ対策への不満があり、科学的には一部無観客で良かったが、もはや政治的に持たないと指摘する声も上がっていた。
- それでも菅首相は、あくまでも一部無観客にこだわった。
- 政府は開会式について、観客の有無によらず、天皇陛下や菅首相、衆参両院議長らが出席する方向で準備を進めている。月曜の報道によると、IOCなどの関係者や各国の外交関係者、スポンサーらも別枠として1万人程度入場が認められる。
- IOCのトーマス・バッハ会長は木曜、来日し、同日から3日間ホテルで待機し、この期間中にオンラインで5者会談に参加した。
- またバッハ会長は、オリンピックとパラリンピックの期間中休戦を世界に呼びかける国連決議、「オリンピック休戦」の期間の初日となる7月16日には広島を訪問する方向で調整が続けられている。
- 安倍晋三前首相は発売中の月刊誌「Hanada」で、オリンピックについて、歴史認識などで一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対していると批判した。
- 安倍氏は、具体的に共産党や5月の社説で中止を求めた朝日新聞を挙げた。
- また安倍氏は、日本人選手のメダル獲得などの感動を共有することは日本人同士の絆を確かめ合うことになることや、自由と民主主義を奉じる日本がオリンピックを成功させることは歴史的な意味があり、日本にはその責任があると強調した。
選挙
10. 衆院選を前に政局が動き出す
- 自民党の山口泰明選挙対策委員長は火曜、菅総理が新型コロナの収束を最優先に位置づけているとして、衆議院選挙は感染状況が落ち着いてからになるという見通しを示した。
- 公明党の山口代表は月曜、ワクチン接種が進んでいるであろう総裁選後に衆議院選挙を行う方が望ましいかもしれないと述べた。
- 自民党の二階幹事長は木曜、小池都知事がオリンピック後の衆院選に出馬し、国政に復帰する可能性が取り沙汰されていることについて「国会へ戻って来られるなら大いに歓迎だ」と述べた。
- 小池知事は二階氏と蜜月関係で、小池氏が自民党を去って2016年の都知事選に立候補してからも頻繁に会談している。両者は月曜にも会談し、新型コロナ対策など都民に必要な施策を連携して進めていくことで一致した。
- 会談後、小池知事は国政復帰を否定した。ただ噂は広まり、水曜には自民党の中谷元・元防衛相が、衆院選後に「小池新党」と保守合同を真剣に検討すべきだと述べた。
- 自民党の竹下亘元総務会長 (74) は木曜、次期衆院選に立候補せず、政界から引退する意向を表明した。竹下氏は竹下登元総理大臣の弟。
- 竹下氏は2019年に食道がんを公表し、治療した後に復帰したが、木曜、闘病によって体力・気力ともに衰え、自信を持って働くことができない状態にあると述べた。
- 竹下氏の引退によって党内第3派閥「経世会」(竹下派)の後継者争いが始まる。現時点で、後継会長候補には茂木外相や加藤官房長官、小渕優子元経産相(小渕恵三元総理の娘)などが挙がっている。
- 竹下氏の他には、伊吹文明元衆議院議長(83・二階派)、川崎二郎元厚労相(73)、塩崎恭久元官房長官(70)、宮腰光寛元沖縄及び北方対策担当特命担当大臣(70・岸田派)、山口泰明氏(72・竹下派)、三ッ矢憲生元副外相(70・岸田派)、冨岡勉元副文科相(73・石原派)らが引退を表明している。
11. 東京都議会議員選挙:都民ファーストが逆風をはねのける
- 自民党は33議席を確保し、最大会派には返り咲いたが、衆院選を前に勢いをつけるには微妙な結果となった。
- 野党は一部の選挙区で候補者の競合を避けるためにすみ分けを行い、前回より多くの議席を獲得した。この結果は衆院選での候補者調整に繋がる可能性がある。
- 投票率は8年ぶりに50%を割り、過去2番目に低い42.39%となった。前回からの得票率の変化については、自民党が3% (67,000票) の微増となった。他の党は10万票以上失った一方、都民ファーストは100万票以上減となった。
- 今回の都議選では過去最多の77人の女性が立候補した。そのうち41人(全体の32%)が当選し、14人が共産党、12人が都民ファースト、それぞれ4人が自民党と立憲民主党の候補だった。
- 日経の調査では、無党派層の25%が都民ファーストに投票したとし、18%は共産党、15%は立憲民主党に票を投じたと答えた。また、読売新聞の調査では、自民党支持者の57%のみが自民党の候補に票を入れ、19%が都民ファーストを選んでいた。
- 大敗と予想された選挙を覆せたのは、小池百合子知事の存在が大きかったという見方がある。小池知事は公に応援をしなかったものの、特別顧問を務める都ファ候補の選挙陣営を投票日前日に訪れた。
- 複数の出口調査では、小池知事や都に対する評価や新型コロナ対応の評価はそれなりに高い。小池知事はこの結果を受け、国政への復帰を模索する可能性がある。すでに2017年に一度、失敗に終わったが、希望の党を立ち上げている。
- 一方、日曜の結果は、自民党の新型コロナ対応、ワクチン接種の進捗、オリンピック開催への対応に対する不満を露わにした。また、すでに4月に初の国政選挙で連敗を喫している菅首相にとっては痛手となる。
- 党内では都議選での敗北が衆院選に伝染しかねないと考えている者もいる。都議選に続き、任期満了近くの衆院選で大敗し、政権を失った2009年の再来を危ぶむ向きもある。
- 都民ファーストは火曜、当選したばかりの木下富美子議員が無免許の状態で車を運転して事故を起こしていたことを受けて、除名することを決め、1議席を失う形となった。
- 都ファにとっては、無所属の議員が1名会派に合流することを受け、32人の票を確保したことになり、33人の当選者から投票権のない議長を選出する自民党と並ぶ形となったが、木下議員の除名により、議会での攻防は常に1人及ばない情勢となる。
- 最終結果 (前回比): 自民党 (25→33); 都民ファースト (45→30); 公明党 (23→23); 日本共産党 (18→19); 立憲民主党 (8→15); 日本維新の会 (1→1); 東京生活者ネットワーク (1→1); 無所属 (木下議員を含む5→5).
その他の注目すべきニュース
- 全国各地で大雨が洪水・土砂崩れを引き起こす: 静岡県熱海市では土曜、大雨により土砂崩れが発生し、何十人もの市民が巻き込まれた。金曜午前の時点で、行方不明者は21人、死者は9人と報じられている。これに加え約570人が避難所におり、131軒の住宅が被災し、土砂崩れが発生した伊豆山地区では断水が続いている。自衛隊、警察、地元の消防は、大雨や大量の土砂により行方不明者の捜索が困難となっている。当初は自然災害と考えられていたが、後に人為的な側面がある可能性についての報道が出た。熱海市によると、神奈川県の不動産管理会社が2006年に伊豆山地区よりも標高の高い土地を購入した。その後、当初のエリアから開発を拡大し、土地内にあった谷を埋めるために土砂を持ち込む申請を提出した。市は、木くずやタイルなどの産業廃棄物が土砂の中に埋められていることを知り、会社に問題の是正を求めていた。会社は要求に従わず、後に土地を売却した。2011年には、別の会社が土地を購入し、市の指示に従う形で谷を残った土で埋めた。市は昨年1月、盛り土の規模を分析したところ、当初の計画と比べて1.5倍の量の土が使用されていたことがわかった。この大量の盛り土が土石流の被害を大きくした可能性があるとみられている。また鳥取県では木曜、土砂崩れが起き、3人が巻き込まれたが、全員無事が確認されている。全国的に大雨が洪水を引き起こし、中国地方では一部の地域で記録的な大雨が観測された。広島県三原市では、川の堤防の一部が切れたとして、最も高い警戒レベルの「緊急安全確保」が発表された。また、新幹線は新大阪―博多間で運転を見合わせ、在来線も一部区間で運転を見合わせ、山陽自動車道や尾道道、松江道などでは通行止めが生じた。
- 沖縄県、普天間移設に関連する辺野古サンゴ移植訴訟で敗訴: 最高裁判所は火曜、沖縄県が国からサンゴの移植を許可するよう指示されたのは違法だと訴えた裁判で、3対2の意見をもって訴えを退ける判決を言い渡した。裁判官の反対意見では、米軍・普天間飛行場の辺野古沖への移設工事には軟弱地盤の改良が必要となっている状況を踏まえ、沖縄県の対応は違法ではないとしている。沖縄県はおととし、沖縄防衛局から埋め立て予定区域のサンゴを移植する申請を受けましたが、判断を出さなかった。また県はその後、農林水産大臣から移植を許可するよう指示されたことについて、違法だと国を訴えた。判決を受け、沖縄県は埋め立て予定海域のサンゴの移植を許可するかどうか、判断を迫られる。県庁内では、司法の最終判断に従うとしてきたこれまでの県の方針を踏まえると、最終的にはサンゴの移植に厳しい条件をつけた上で、許可せざるをえないという意見も聞かれる。この結果、移設計画をめぐって県と国の間で起こされたあわせて9件の裁判のうち、4件で県の敗訴が確定し、4件で和解が成立するか県が訴えを取り下げている。残る1件は、埋め立て承認の撤回を取り消した国の裁決は違法だとして、県が、裁決の取り消しを求めた裁判で、県はこれを「本丸」と位置づけており、移設阻止に向け突破口を見いだしたい考え。
II. 世論調査
- 月曜に公表されたJNNの世論調査では、菅内閣の支持率は43%(6月から4%増)、不支持は54%(4%減)だった。
- 回答者の36%は菅内閣を支持しない理由として、政策に期待できないとし、22%は菅総理に期待できない、20%は自民党を中心とした内閣だからと答えた。
- 回答者の38%(6月から4%増)は政府の新型コロナ対応を評価するとした一方、51%(6%減)は評価しないと答えた。
- 回答者の76%は東京に今月11日まで出されているまん延防止等重点措置を延長すべきだとした一方、13%は解除すべきだと答えた。
- 回答者の50%はまん延防止等重点措置について、飲食店などでの種類の提供を午後7時まで認めている方針は適当だとし、24%は厳しすぎるとし、21%は緩すぎると答えた。
- 回答者の52%(6月から11%減)はワクチンを接種したいとし、34%(19%増)はもう接種したとし、12%(6%減)は接種したくないと答えた。
- 回答者の57%はワクチンの副反応に対して「ある程度」、あるいは「非常に」心配だとした一方、42%は「あまり」、あるいは「まったく」心配ではないと答えた。
- 回答者の54%は、政府が予想以上に申し込みが殺到したことなどを理由に企業や大学などでの職域接種について新規申し込みの一時停止を続ける方針について、納得できないとし、37%は納得できると答えた。
- 回答者の63%は、政府が希望する全ての国民へのワクチン接種を11月末までに終えることを目指すとしていることについて、目標は達成できないと思うとした一方、30%はできると思うと答えた。
- 回答者の35%はオリンピックを無観客で開催すべきだとし、26%は観客数を制限して開催すべき、20%は中止すべき、14%は延期すべき、4%は通常通り開催すべきだと答えた。
- 回答者の79%は、オリンピックの選手団や関係者の来日に向けた政府の水際対策が不十分だとした一方、14%は十分だと思うと答えた。
- 次の自民党総裁にふさわしいのは:
- 河野太郎 (18%);
- 石破茂 (16%);
- 安倍晋三 (12%);
- 小泉進次郎 (12%);
- 菅義偉 (8%);
- 岸田文雄 (3%);
- 野田聖子 (2%);
- 加藤勝信 (1%);
- 茂木敏充 (1%)
- 世論調査は各政党の支持率に関するデータも集計している。
政党名 | 支持率 (%) |
自民党 | 34 (-1) |
公明党 | 4 (±0) |
立憲民主党 | 6 (±0) |
日本維新の会 | 2 (-1) |
国民民主党 | 1 (±0) |
日本共産党 | 3 (+1) |
社会民主党 | 0 (±0) |
れいわ新撰組 | 0 (±0) |
嵐の党 (元・古い政党から国民を守る党) | 0 (±0) |
支持政党なし | 46 (+2) |
Image: Captain76 (CC BY-SA 3.0)
完。
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