I. 今週のニュース
新型コロナ
新型コロナ情報 (基本毎日更新):
- 緊急事態・蔓延防止等に関する情報: 内閣官房、「緊急事態宣言」、https://corona.go.jp/emergency/
- ワクチン接種等に関する情報: 首相官邸、「新型コロナワクチンについて」、https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html
- 世界の接種状況の比較: 「チャートで見るコロナワクチン 世界の接種状況は」、日本経済新聞、https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-vaccine-status/
- 都道府県ごとの新規感染者数: 「特設サイト: 新型コロナウイルス」、NHK、https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data/
- 東京の新規感染者数・病床使用率: 東京都、「都内の最新感染動向」、https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp
1. 現状
- 田村憲久厚生労働大臣は金曜、さらに感染が拡大する可能性があれば、緊急事態宣言を出すことも念頭に厳しい対応が必要だという認識を示した。東京都では金曜、新たに562人の新規感染者が確認され、3日連続で前の週の同じ曜日から100人以上増加した。
- 加藤勝信官房長官は金曜、「デルタ株」(インド型)がさらに変異したいわゆる「デルタプラス」 が国内で37例確認されていることを明らかにした。また、感染力やワクチンの効果についてはわからないことが多いため、引き続き評価や分析を行っていく考えを示した。
- 専門家のグループは水曜、厚生労働省の専門家会議にて、インドで確認された新型コロナの変異ウイルス(デルタ株)の、国内での感染力は従来のウイルスの1.95倍と推定されるという分析結果を示した。
- 京都大学の西浦博教授らのグループは、この変異ウイルスが7月12日ごろには全体の半数を超え、東京オリンピックが開幕する7月23日時点で全体の68.9%になると予測している。
- スーパーコンピューター「富岳」を使ったシミュレーションでは、通常の声で話している感染者と、マスクなしで15分間向かい合った場合、1.5 メートル離れた時は、アルファ株は感染リスクが5%なのに対して、デルタ株は10%とおよそ2倍になった。
- また、2メートル離れた相手から感染する確率と接触時間を試算すると、感染確率が10%に達するのにかかった時間は、アルファ株ではおよそ35分だった一方、デルタ株では20分足らずだった。
- 専門家会合で示された資料によると、全国で感染状況が減少傾向にある。先々週に比べると、先週の新規感染者数は全国で0.84倍で、唯一緊急事態宣言が続いている沖縄県では0.65倍となっている。
- 一方、東京都は1.08倍、千葉県は1.10倍と増加に転じている。人口10万人当たりの直近1週間の新規感染者数では、東京都が20.41人と、「ステージ3」の目安の15人を超えている。沖縄県は依然感染状況が最も深刻な「ステージ4」の目安の25人を超えている。
2. 政府、ワクチン接種のスピードアップを図る
- 加藤官房長官は木曜、今月に3回、一日あたり100万回のワクチン接種という目標を達成したと発表した。また、水曜時点で、少なくとも1回の接種を受けた高齢者は、全体のおよそ51%になったと説明した。
- 政府は接種スピードをさらに加速させるべく、自衛隊が運営する国の東京・大阪大規模接種センターの予約枠を拡大する。
- 具体的には来週の月曜から、東京では1日につき300枠増の計10,300枠、大阪では75枠増の5,075枠に拡大される。
- 岸信夫防衛大臣は金曜、政府が設置した大規模接種センターについて、来週以降、予約が無い人には一切接種は行わないとした。今までは、キャンセルが出た場合などにかぎり、予約が無くても、可能な範囲で接種してきたが、深夜から行列ができ、会場周辺で迷惑となっているほか、運営上の負担にもなっているとした。
- 厚生労働省は火曜、6月30日の専門分科会で、アストラゼネカ製のワクチンについて無料で打てる公費接種の対象とし、60歳以上に接種するかどうかを判断するとした。同省は5月に同ワクチンを承認したが、血栓症の副反応が海外で報告されていたことから、当面使用を見送る方針を示していた。
- 河野太郎ワクチン接種担当大臣は火曜、全国知事会の会議にて、接種に関して無関心・必要ないと考えている割合が多い若い世代への働きかけを行い、全体の接種率を高めたいという考えを示した。
- 文科省は大学生に関して、2学期に対面の授業ができるよう、夏休み中にできる限り打ってほしいと求めた。
- 河野大臣は月曜のテレビ番組にて、菅義偉総理大臣が掲げた10月から11月にかけて、希望するすべての人への接種を終えるとする目標は「おそらく実現できるのではないかと思う」と述べた。
- そして大臣は、現在高齢者と医療従事者を合わせて1日あたり100万回になっている接種量に関して、職域接種の20万回を加えることができるという見方を示した。
3. ワクチン接種に新たな問題発生
- 加藤官房長官は木曜、アメリカの疾病対策センター(CDC)が、主に若い世代で、ワクチンの接種と心筋炎などの症状が関連している可能性があるとする見解を示したことに関連して、厚生労働省で接種との因果関係や副反応の傾向などを評価し、適切に情報提供していく考えを示した。
- 河野ワクチン担当相は水曜、モデルナ製ワクチンの不足が予測されることから、金曜午後5時付けで職域接種の申請を一時的に中止すると発表した。
- 河野大臣は職域接種が立ち上がると1日の接種回数が140万回くらいになるとし、供給量を上回ることを明かした。大臣はファイザーのワクチンによる自治体での接種を今後も円滑に進めていくことで、10月から11月にかけて希望するすべての人への接種を終える目標を達成したいとしている。
- 全国知事会の会長は火曜、河野大臣に対し、多くの知事から、ファイザーのワクチンの供給が、来月から大幅に減っていくということで自治体での接種の現場が混乱するのではないかとして、具体的な供給スケジュールや配分量を示してほしいという意見が出たと述べた。
- 萩生田光一文部科学大臣は火曜、12歳以上を対象にした学校での集団接種について、保護者への説明の機会が乏しいことや、受ける人と受けない人で、それがいじめなどにつながることも心配されることから、現時点では推奨しないと述べた。
外交・防衛(安全保障)
4. 日米関係
- 岸防衛大臣は火曜、陸上自衛隊とアメリカ陸軍による実動訓練を過去最大級となる規模で、木曜から全国の駐屯地や演習場で実施すると発表した。
- 「オリエント・シールド」は全国各地で6月24日~7月11日の期間に開催される。今年の訓練は、3月の日米防衛相会談で、高度な訓練の実施を通じて即応性を強化することを確認したことを踏まえて、過去最大級となる日米の隊員およそ3,000人が参加することになっている。両国は訓練を通じて、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化につなげたいという考えだ。
- 共同通信は土曜、政府が航空自衛隊の主力戦闘機F15への搭載計画を進めている米国製長距離巡航ミサイル2種類のうち、対艦艇ミサイル搭載を見送る方向で調整に入ったと報じた。
- 約900キロの射程があるミサイルの導入は南西諸島防衛強化策の柱の一つと位置付けられている。
- しかし、米国側が示した長射程ミサイル発射のためのF15改修初期費用は、当初想定の3倍の2,400億円近く、それに対応するため、コスト削減を余儀なくされている。
5. 外交関連ニュース
- 茂木敏充外務大臣は金曜、来月1日以降、インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシアの東南アジア4か国に対し、それぞれおよそ100万回分のアストラゼネカ製ワクチンを提供することを明らかにした。台湾とベトナムに対しても、それぞれ、およそ100万回分を追加提供することにしている。
- また茂木大臣は、来月中旬以降、ワクチンを分配する国際的な枠組み「COVAXファシリティ」を通じて、東南アジアや南西アジア、それに太平洋の島しょ国などに合わせて1100万回分の提供を開始する方針も示した。
- 田村厚生労働大臣は水曜夜、イタリアで開かれているG20の労働雇用相会合にオンラインで参加した。採択された閣僚宣言では、女性にとって平等な労働の実現やワークライフバランスの向上に向けて柔軟な勤務形態の推進などを盛り込んだ。
- 日本を含む40カ国以上が火曜、新疆ウイグル自治区での人権侵害に関する共同宣言を国連人権理事会で発表した。宣言では、人権侵害に対する懸念を示し、国連人権高等弁務官などの早急な自治区入りと調査を認めるよう中国に求めた。
- 外務省は火曜、秋葉剛男事務次官の退任に伴い、新しい事務次官に、森健良外務審議官を起用する人事を決めた。
- 政府は、北村滋国家安全保障局長の退任に伴い、秋葉氏を新しい局長に起用する方向となっている。この人事は外務省に外交・安全保障において一定の影響力を与えることになるとされている。
- 外務省の船越健裕アジア大洋州局長は月曜、ソウルで韓国のイ・サンリョルアジア太平洋局長と協議した。
- 両局長は、北朝鮮への対応をはじめ地域の安定には、日韓両国とアメリカの3か国の協力が重要であることを確認し、日韓関係を健全な関係に戻せるよう、外交当局間の意思疎通を継続していくことで一致したが、一連の歴史問題に関しては、韓国が従来の立場を維持したことで、今回も平行線を辿った。
- 茂木外務大臣は来月にも、グアテマラ、キューバ、パナマ、ジャマイカの中米・カリブ海4か国を訪れる方向で調整に入った。4カ国とは経済協力から、地域で影響力を強める中国を念頭に、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の実現に向けた協力について話し合う予定だ。
- 茂木大臣は来週イタリアで開かれるG20の外相会合に出席したあと、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国を訪問することになっている。リトアニア政府が中国と中東欧17か国の経済協力の枠組みから脱退を表明するなど中国との協力関係を見直す動きが出ていることも踏まえ、茂木大臣はバルト3国との連携を強めていきたい考えだ。
6. 防衛関連ニュース
- 岸防衛大臣は水曜、ラオスのチャンサモーン・チャンニャラート副首相兼国防大臣とテレビ会談を行った。両大臣は、国際法の遵守の重要性、中国の海洋進出やミャンマー情勢などについて話し合った。
- 岸大臣は火曜、ドイツのアンネグレート・クランプ=カレンバウアー国防大臣とテレビ会談を行った。両大臣は、力を背景とした一方的な現状変更の試みや、緊張を高めるいかなる行為にも反対するとの意思と、中国海警法に対する深刻な懸念を表明した。
- 両大臣は、共同訓練等の実施に向けて調整していくことで一致し、ドイツ海軍フリゲート派遣時の、ドイツにとって初となる北朝鮮籍船舶による「瀬取り」を含む違法な海上活動に対する警戒監視活動への参加の可能性についても議論した。
- 朝日新聞は先週水曜、防衛省の2021年版「防衛白書」(7月にまとまる予定)の素案が中国の台頭を強く意識した内容となっていると報じた。中国については、その軍事動向を日本を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念と明記。
- また、台湾情勢の安定は、日本の安全保障や国際社会の安定にとって重要と初めて言及した。
国内政治
7. 政治動向
- 自民党と立憲民主党は水曜、新型コロナ対策などについて議論するため、来月、閉会中審査を行うことで合意した。衆参両院の厚生労働委員会と内閣委員会でそれぞれ7月7日・8日、14日・15日の日程で行われる。
- 自民党は森友学園への国有地売却の際、財務省の公文書改ざんを記した「赤木ファイル」をめぐる閉会中審査について、野党の開催要求を拒否した。
- 森山裕国会対策委員長は、衆参両院それぞれの財務金融委員会が木曜に開催する懇談会で説明があるとし、それ以上の審査は必要ないとした。
- 厚生労働省の有識者検討会は火曜、長時間労働などが原因の過労死の認定基準を約20年ぶりに見直す案を示した。
- 現在国が過労死として認定する基準である病気の発症直前1か月に100時間、あるいは発症前の2か月から6か月は1か月平均で80時間をいずれも超えた場合などは維持されるが、見直し案では、残業時間の長さが「過労死ライン」に達しない場合でも、それに近い残業があり、不規則な勤務などが認められれば労災と認定すべきだとしている。
- 東京都は火曜夜、小池百合子知事が過度の疲労により静養が必要となったため、今週は公務を離れると発表した。
- 東京簡易裁判所は先週水曜、元自民党議員で経済産業大臣だった菅原一秀氏について、罰金40万円、公民権停止は3年とする略式命令を出した。菅原氏は香典や地元の行事に参加した際の祝儀など合わせておよそ80万円分の違法な寄付をしていたとして、公職選挙法違反の罪で略式起訴されていた。
8. 経済状況
- 政府は金曜、世界最大規模の自由貿易協定となる東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の受諾を閣議決定した。
- RCEPは中国やASEAN10カ国を含むアジア太平洋地域の計15カ国が署名し、参加国の国内総生産(GDP)と人口の合計は世界の3割を占める。日本は受諾した3カ国目となり、年内にも発効される可能性がある。
- 内閣府は木曜、現在の景気状況をまとめた六月分の月例経済報告を発表した。
- 月例報告は、輸出、投資、企業利益などの緩やかな回復・上昇により、景気が持ち直しの動きを続けているとした。同時に、非製造業は新型コロナの影響で依然弱く、個人消費も弱い動きとなっているとした。
- 厚生労働省は火曜、労働組合と企業団体らでつくる最低賃金の引き上げについて話し合う審議会を始めた。政府は現行の全国平均902円を1,000円に引き上げたい考えだ。
- 労働組合は、現行の最低賃金が低すぎるとする一方、企業側は新型コロナで業績が悪化した企業がさらに苦しい状況に追い込まれるとし、現状維持を求めた。昨年、新型コロナの影響で目安を示すことができず、引き上げ額は全国平均で1円にとどまった。
- 政府はコロナ渦で露呈した賃金格差の是正や最低賃金の引き上げが相次ぐ海外での動向を踏まえて、賃金の引き上げに積極的な姿勢を示している。
- 日経は火曜、政府が海外の企業経営者や経営幹部らの国内受け入れを増やし、2019年実績の9.5万人から2030年には約2倍となる約20万人にする目標を決めたと報じた。また、対日直接投資(FDI)の残高を2030年に2020年実績の2倍にあたる80兆円にする方針だ。
- 日銀は先週金曜に開いた金融政策決定会合で、新型コロナの感染拡大を受けて導入している企業の資金繰り支援策の延長を決めた。期限は2021年9月末から2022年3月末まで6カ月延長される。
9. 日本が脱炭素化を後押し
- 梶山弘志経済産業大臣は月曜、オンラインで開かれた日本とASEAN各国のエネルギー担当大臣らの会合に参加した。
- 梶山大臣は会合で、各国の脱炭素化に協力するほか、太陽光などの再生可能エネルギーを導入したり、火力発電の燃料を液化天然ガスに切り替えたりする事業に対し、民間も合わせて1兆円規模の資金を拠出するとした。
- 政府は地球温暖化対策に積極的に取り組む自治体を支援するため、新たな交付金を創設する方向で検討に入った。環境省が2022年度予算概算要求に盛り込む方針だ。
- 自治体側からは、個別事業を対象とした補助金と比べ、柔軟にかつ何年もかけて運用できる交付金の新設を求める声が多い。交付金の対象は、全国100カ所以上に設ける「先行地域」に限定することを想定している。
- この新たな財政支援は、地域経済の活性化につながる形で再生エネを導入する取り組みを積極的に後押しする。
- 日銀は先週金曜に開いた金融政策決定会合で、気候変動対策の分野へ融資する金融機関に資金供給する新たな制度を導入することを決めた。この制度を通して民間の気候変動対策を後押しすることが狙いだ。日銀は7月の決定会合で骨子案を公表し、年内をめどに制度を開始する。
10. オリンピック開催まで1ヶ月の今週、問題は未だ山積
- 宮内庁の西村泰彦長官は木曜、陛下が新型コロナの感染状況を心配しており、オリンピック開催が感染拡大につながらないか、ご懸念されていると拝察していると述べた。
- 立憲民主党は木曜、来日するIOC委員ら「オリンピックファミリー」の特別扱いを見直すよう要求した。プレーブックでは、IOC委員や家族などの「オリンピックファミリー」や報道関係者は入国後14日間以内であっても感染対策をした個室のある飲食店などで食事を取ってもよいとしている。
- 大会開催に対する抗議はいまだに続いている。都庁周辺では水曜、六つの市民団体が開催中止を求めるデモを呼びかけた。
- 政府の感染対策が安心安全を実現できるか不安も残る。現時点で、ウガンダの選手団から2名、フランス、エジプト、スリランカ、ガーナからそれぞれ1名が入国後に陽性と判定されている。ウガンダの選手団に関しては、8名と市の職員1名が濃厚接触者と認定された。
- 大会組織委員会は水曜、世論からの厳しい反応を受け、当初時間制限などを設けて許可する予定だったスタジアムなどでのアルコール類の販売を見送った。わずか数日で判断が覆った。
- アルコールの販売については、組織委員会と丸川珠代オリンピック担当大臣の間で発言に食い違いが生じた。
- 丸川大臣は火曜、アサヒビールなどのスポンサーらステークホルダーの存在があるために販売を検討しているという趣旨の発言をした。組織委員会は同日、スポンサー等の意向で販売方針を決めることはないという見解を示した。
- 首相の発言は、IOC、IPC、組織委員会、東京都と政府のいわゆる5者会議にて、全会場での上限を1万人、あるいは会場の収容可能50%に設定することになった後にでたもの。報道によれば、開会式でもIOC委員やスポンサー枠を設けることで、上限が2万人に上げられることが検討されている。
- また、組織委員会は試合開始時刻などでも問題を抱えている。千葉県や埼玉県では、知事が午後9時以降開始の試合は無観客で開催するよう要請している。両県で開催される予定のバスケットボールとレスリングの試合は遅くて午後10時に始まることになっている。時間繰り上げでの開始も考える方向だ。
- 東京都の小池知事は土曜、都で計画していたパブリックビューイング(PV)を全て中止すると発表した。多くのPV会場はワクチン接種会場に使われる。
11. その他関連ニュース
- 金曜に開かれた東芝の株主総会で、永山治取締役会議長らの再任案が否決された。会社が提案した人事案が否決されるのは異例だ。外部の弁護士が作成した株主総会の運営についての報告書の発表後、株主が経営側に不信感を抱いていることがわかる。
- 6月10日に公表された報告書では、東芝と経済産業省が連携し、昨年の株主総会において、筆頭株主でいわゆる“モノ言う株主”の提案を妨げるため、一部の株主に不当な影響を与えたと指摘した。
- 東芝は金曜、取締役会議長に定時株主総会で再任された綱川智社長兼最高経営責任者(CEO)が暫定で就くと発表した。また、総会で新たに社外取締役に選任されたジョージ・オルコット氏が就任を拒否する考えを表明した。結果的に東芝が5月に提案した13名の人事案のうち8名のみが取締役会に残ることになった。
- 警視庁は金曜、昨年12月ごろに架空の企業を通して給付金総額約550万円を騙し取った疑いで、経済産業省のキャリア官僚である桜井真と新井雄太郎容疑者を逮捕した。
- 新型コロナ感染拡大の影響で売り上げが減った中小企業は、賃料を補填するため、最大で600万円の給付を受けられる。
- 2020年10月1日時点の外国人を含む総人口は1億2,622万6,568人で、15年の前回調査から約86万8千人減った。国連推計によると日本の人口は世界で11番目となり、比較可能な1950年以降、初めて上位10カ国に入らなかった。
- 沖縄では水曜、太平洋戦争末期の沖縄戦から76年の「慰霊の日」を迎えた。 沖縄戦では住民を巻き込んだ激しい地上戦で20万人を超える人が亡くなった。沖縄県に緊急事態宣言が出ているため、戦没者追悼式は最後の激戦地となった糸満市で規模を大幅に縮小して開かれた。
- 原子力規制委員会は水曜、中国電力島根原発2号機について、再稼働の前提となる新規制基準に適合しているとした審査書案を了承した。正式決定・再稼働には地元自治体の了承が必要なため、時期は未定。
- 最高裁判所は水曜、夫婦別姓を認めない民法の規定について、憲法に違反しないとする判断を示した。この判決は2015年に続いて2度目となる。根拠となっているのは1898年に施行され、夫婦が同姓を取ることを義務付けている民法。
- 法務省によると、夫婦同姓を法律で義務付けている国は世界で日本だけだ。国連の女性差別撤廃委員会は、この制度を「差別的」とし、たびたび改正するよう勧告してきた。
選挙
12. 衆議院選挙関連
- 立憲民主党の枝野幸男代表は金曜、新型コロナ対策として実現を目指すとしている消費税率の時限的な5%への引き下げについて、次の衆議院選挙で掲げる選挙公約に盛り込むよう、党内に指示したことを明らかにした。
- 党は当初、実現性が乏しいとし、公約に盛り込むことに慎重な姿勢を見せていた。結果、「目標」として盛り込むことになった。この判断は、選挙の旗印として打ち出したいとしていた他の野党に歓迎されることだろう。
- また枝野氏は日曜に、消費税率5%への引き下げを実現するため、来年の通常国会で必要な法改正を進めたいという考えを示した。そして政権をとっても、自民・公明と協力する必要があると述べた。参議院では現与党が多数を占める状況は変わらない。
- 自民党の青年局は水曜、来年夏の参院選に向け、比例代表候補の70歳定年制堅持を求める提言を菅総裁に提出した。提言の中では、衆院比例候補の73歳定年制についても堅持と次期衆院選での厳格運用を要請した。
- 自民党の小此木八郎国家公安委員長は金曜、菅総理大臣に閣僚の辞表を提出した。小此木氏は8月に行われる横浜市長選挙に立候補する。市長選で争点となる、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の是非については反対する考えだ。
- 小此木氏の後任には棚橋泰文・元科学技術相が起用されると金曜に発表があった。
- 自民党の塩崎恭久元官房長官も、次期衆院選に出馬しない意向を示した。塩崎氏は引退する意向を表明した。
- 報道によると、自民党は、1月の緊急事態宣言中にクラブに行った後に離党した松本純氏、田野瀬太道氏、大塚高司氏の復党を検討しているかもしれない。
- 一部の議員からは何も法律に違反したわけではないという声が上がり、またその他では無所属の場合、比例代表との重複立候補はできず、復活当選の道が閉ざされるために復党を説く議員もいる。
- 政府の衆議院議員選挙区画定審議会は近く、衆院小選挙区の「1票の格差」を是正すべく、15都県に10増10減の新たな定数を配分する案を取りまとめる。
- 金曜に公表された2020年国勢調査の速報値によると、衆院小選挙区の「1票の格差」は最大2.09倍となった。これは最高裁判所の違憲判断の目安とされる2倍を超えている。
- 審議会は、議員1人当たりの人口が最も少ない小選挙区から最も多い小選挙区へ配分する「アダムズ方式」を適用し、東京都ら4県に他10県から10議席を配分することを勧告する。
- 政府は来年1月に始まる通常国会で新たな定数と区割りを示した公職選挙法改正案を提出する可能性がある。ただ、今回の衆議院選挙には間に合わないため、実用化は次回以降となる。
13. 都議会議員選挙は来週投開票
- 東京都議会議員選挙が金曜に告示された(投開票7月4日)。各党が選挙モードに入り街頭での訴えを始める。都議選は今秋に予定される衆議院選の前哨戦と位置付けられている。
- 都議選には、42の選挙区の127の定員に対して271人が立候補した。自民党は最多の60人を公認候補として送り込む。自民・公明両党は協力し、最大会派の都民ファーストから議会を取り返したいと考えている。
- 菅総裁は金曜の出陣式で、東京都の成長が日本の成長につながると述べた。また、ワクチン接種に全力を挙げ、東京オリピック・パラリンピックで最優先すべきは安全安心だとした。
- 選挙の注目点は、都の新型コロナ対策に対する評価、オリンピック開催の是非、そして自民・公明が過半数を取り返せるかになりそうだ。
- 自民・公明両党の選挙結果は、今秋の衆議院選挙を前に政権がどう評価されているか理解するいい機会だ。結果次第では衆議院選挙に影響が及ぶ可能性がある。
- 朝日新聞が出版するAERAは日曜、自民・公明が過半数を取り返す予想を立てた。また、この試算では、都民ファーストが第5党にまで後退する。
その他の注目すべきニュース
- 政府が「赤木ファイル」を部分的に開示: 麻生太郎財務大臣は金曜、学校法人「森友学園」の国有地売却を巡る財務省の決裁文書改ざんに加担することを余儀なくされた後、2018年に自殺した近畿財務局の元職員赤木俊夫さんがまとめた文書、「赤木ファイル」の原本を開示するつもりはないと述べた。政府は、この問題は法廷で取り扱われるべきものであり、再調査する必要はないと主張している。政府・与党はまた、閉会中審査でこの問題について審議することを求めた野党による要請を拒否した。代わりに、木曜に両院の財務金融委員会の理事懇談会での非公開会合に合意した。「赤木ファイル」の一部は火曜に公開され、財務省から地方財務局へのメールのコピーなどが明らかになった。学校法人森友学園へ国有地を評価額より大幅に安く売却した件に関しては、安倍晋三前首相の妻である昭恵夫人の名前を関連書類から削除するよう指示していたメールなどがあった。また、当時の佐川宣寿理財局長から公文書の書き直しが指示されていた内容のメールも含まれていた。文書は、財務省が赤木さんや赤木さんの同僚に書類を改ざんすることを指示したことを明らかにしているが、改ざんの理由などについては明らかにしていない。政府は7月16日までに裁判で原本を開示するかを決定する。
- 静岡県知事選で「リニア反対」の現職が再当選: 日曜に投開票を迎えた静岡県知事選挙では、現職の川勝平太氏が自民党の支持を受けた新人を破り4度目の当選を果たした。川勝氏の選挙は、新型コロナ対策と、東京と名古屋を約40分で結ぶJR東海の中央新幹線(磁気浮上式鉄道)開通への反対に焦点を当てた。知事は、7兆400億円相当の高速鉄道事業の建設を延期する理由として環境問題を挙げている。南アルプスを貫くトンネルを開通することは、地元の家庭に水を供給し、日本有数の茶畑に栄養を与える大井川の水流に影響を与えることが懸念されている。2014年に建設を命じ、JR東海へ3兆円の融資を承認した政府は、事業に反対する現職の知事を退陣に追い込む機会を失った。川勝知事の勝利は、リニア中央新幹線の2027年開業を遅らせる可能性がある。
II. 世論調査
- 月曜に公表されたFNN・産経新聞の世論調査では、菅内閣の支持率は43%(5月から変わらず)、不支持は52%(5月から1%減)だった。
- 回答者の36%(5月から11%増)はこれまでの政府の新型コロナ対策を評価するとした一方、57%(5月から11%減)は評価しないと答えた。
- 回答者の38%は、政府が沖縄以外の9都道府県で出していた緊急事態宣言を解除したことについて、妥当だと思うとし、50%は宣言を延長すべき、10%はもっと早く解除すべきだったと答えた。
- 回答者の47%は、政府が東京や大阪を含む10都道府県に7月11日までまん延防止等重点措置を適用するとしたことについて、妥当だと思うとし、30%は適用期間が短すぎる、13%は必要ない、7%は期間が長すぎると答えた。
- 回答者の35%は、政府が飲食店などへの午後8時までの時短営業要請を継続し、酒類提供を感染防止対策徹底の条件付きで午後7時まで認めることについて、妥当だと思うとし、33%はもっと緩和すべき、28%はもっと厳しくすべきと答えた。
- 回答者の64%は政府が7月末までに希望する全高齢者、10月から11月にかけて若者も含め全希望者へのワクチン接種完了を目指していることについて、接種の進捗が遅すぎるとし、29%は妥当、5%は急ぎすぎていると答えた。
- 回答者の51%はワクチン接種を受けるつもりだとし、26%はすでに受けた、19%は様子を見て判断する、5%は受けないと答えた。
- 回答者の35%は無観客でオリンピック・パラリンピックを開催すべきと答え、33%は観客を制限して開催すべき、31%は中止と答えた。
- 回答者の70%はオリンピックの選手やメディアなど大会関係者に課される「原則毎日検査」や「GPSによる行動把握」などと、違反者への「参加資格剥奪」や「国外強制退去」などの措置について、「ある程度」、あるいは「とても」効果があるとした一方、28%は「あまり」、あるいは「まったく」効果がないと答えた。
- 次の総理大臣に相応しいのは誰かという質問に対しては:
- 河野太郎 (19%)、この中にはいない (19%)、石破茂 (16%)、菅首相 (11%)、安倍晋三 (9%)、小泉進次郎 (9%)、枝野幸男 (4%)、岸田文雄 (3%)、野田聖子 (1%)、下村博文 (0.5%)、西村康稔 (0.5%)、茂木敏充 (0.4%)、加藤勝信 (0.3%)
- 解散総選挙の比例代表での投票先については:
- 自民党 (34%)、立憲民主党 (10%)、投票しない (7%)、日本維新の会 (4%)、公明党 (3%)、共産党 (3%)、その他の政党 (3%)、国民民主党 (1%)、社民党 (0.5%)、古い政党から国民を守る党 (0.3%)、れいわ新撰組 (0.2%)
- 世論調査は各政党の支持率に関するデータも集計している。
政党名 | 支持率 (%) |
自由民主党 | 37 (+2) |
公明党(自民と連立政権を組む) | 3 (±0) |
立憲民主党 | 8 (±0) |
日本維新の会 | 3 (±0) |
国民民主党 | 1 (±0) |
日本共産党 | 2 (±0) |
社会民主党 | 1 (+1) |
れいわ新撰組 | 0 (±0) |
古い政党から国民を守る党 (元N党) | 0 (±0) |
支持政党なし | 43 (-2) |
- 月曜に公表された朝日新聞の世論調査では、菅内閣の支持率は34%(5月から1%増)、不支持は42%(5月から5%減)だった。
- 回答者の34%(5月から20%増)はオリンピックを今夏に開催すべきとし、32%(5月から11%減)は中止にすべき、10%(5月から10%減)は再延期すべきと答えた。
- 回答者の53%はオリンピックが開催される場合、観客なしで行うべきだとした一方、42%は観客数を制限して行うべきだと答えた。
Image: Captain76 (CC BY-SA 3.0)
完。
3 thoughts on “週刊オブザーバー 6/21-6/25”