特設:東京都議会議員選挙(7月4日投開票)
- 最新(日曜16:00更新)
午後2時現在(NHK集計)で推定投票率は15.59%と、前回と比べて5.29ポイント低くなっている。
期日前投票はおよそ12.4%にあたる142万5,192人で、前回4年前の同じ時期と比べて7万人余り、率にして5.2%増えた。
大多数の投票所で投票は20時に締め切られる。
小池知事は土曜、荒木ちはる代表の演説に顔を出した。また、10人以上の候補者の選挙事務所を訪れ、演説はせず、手を振った。なお荒木代表は演説で菅政権の水際対策を批判し、都議会で与党に過半数を取らせてはならないと訴えた。
- 都議会議員選挙まで数日となった今、与野党は小池都知事の動向が風向きを大きく変えかねないとみて神経をとがらせている。
- 小池知事は水曜、過度の疲労を理由にとっていた静養から公務に復帰した。知事はまだ自らが陣頭指揮を取り、前回の都議選で勝利に導き、今も特別顧問を務める都民ファーストの会を公に応援していない。
- 各社世論調査で優勢と見られる自民・公明両党は、小池氏の応援で形勢が変わる可能性があるとみている。野党側も小池氏が必死に訴えれば何議席かはひっくり返りかねないとしている。
- 都民ファーストのある候補は水曜、小池氏から「都民がついています。がんばりましょう」と直筆の檄文(げきふん)が届いたとツイッターに投稿し、「知事はこれからも都民ファと共に戦う」と訴えた。
- ただ、小池氏は都議選を静観するとみる向きも少なくない。自民党は昨年の都知事選で小池氏を実質支援した経緯があるからだ。コロナ対策で都財政が急激に悪化する中、国の補助は欠かせないことから、表立って自民党と対立することは避けるとの見方もある。
- 都議選の焦点は都の新型コロナ対策やオリンピック開催になるとみられる。各社世論調査は自民党優勢としている:東京新聞 (18.4%); 時事通信 (取材などをもとに); 共同通信 (31.8%); and 朝日新聞(24%)。
I. 今週のニュース
新型コロナ
新型コロナ情報 (基本毎日更新):
- 緊急事態・蔓延防止等に関する情報: 内閣官房、「緊急事態宣言」、 https://corona.go.jp/emergency/
- ワクチン接種等に関する情報: 首相官邸、「新型コロナワクチンについて」、 https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html
- 世界の接種状況の比較: 「チャートで見るコロナワクチン 世界の接種状況は」、日本経済新聞、 https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-vaccine-status/
- 都道府県ごとの新規感染者数: 「特設サイト: 新型コロナウイルス」、NHK、https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data/
- 東京の新規感染者数・病床使用率: 東京都、「都内の最新感染動向」、https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
1. 政府、まん延防止等重点措置の取り扱いを来週決定へ
- 西村経済再生担当大臣は金曜、東京の感染状況について、感染者数の増加に伴って、入院者数も増加傾向にあるとして、軽症や中等症に対応する中小の病院も含め、医療機関への負荷を注視していく考えを示した。
- 新規感染者数は特に首都圏で増加傾向にある。東京都は水曜、714人の新規感染者が確認され、感染確認が700人を超えるのは5月26日以来となった。水曜までの7日間平均も500人を超え、前週の120%となった。
- 延長が決まれば、オリンピック期間中、まん延防止等重点措置が適用されていることになる。また政府内では、延長地域での無観客開催論も浮上している。
- 政府は月曜、福岡県が要請したまん延防止等重点措置の早期解除を見送った。西村康稔経済再生担当大臣は感染を徹底的に抑える必要があるなどとし、前倒しの解除は考えていないと答えた。
- 福岡県では、病床全体の使用率と重症者のための病床の使用率が、いずれも20%未満のステージ2以下の水準に下がっていて、県が設けたまん延防止等重点措置の解除を政府に要請する目安に達していた。
- 西村大臣は日曜のテレビ番組で、政府が新型コロナ感染再拡大の兆候が見られる東京都などに対し、今後の推移によってはちゅうちょなく、再び緊急事態宣言を発令すると示唆した。また、活動が活発な20代、30代の感染をどう抑えるかが課題になっていると指摘した。
- 東京都が公表したデータによると、都内の感染者のうち、20代と30代の割合が6月に入って全体の50.3%となり、第2波だった昨年8月以降初めて半数を超えた。
2. 変異株の感染爆発の可能性
- 水曜、厚生労働省の専門家会議で示された最新の試算によると、東京の人出が今のままでも、7月中旬には1日の感染者が1,000人を超え、8月4日頃には、2,000人を超える。
- 人出が増え続けた場合、7月中に1日の感染者が2,000人を超えるとされ、8月中旬には、入院が必要な患者数が確保している病床数を上回ると推計されている。首都圏の感染状況は全国よりも悪く、専門家は、背景に「デルタ株」(インド型)の影響があると指摘する。
- 国立感染研究所によると、「デルタ株」が6月時点で、関東地方の陽性者の3割前後を占めると推定している。これは7月半ばに5割を超え、「アルファ株」(イギリス型)からの置き換わりが進むと見られている。
- 東京都は水曜、月曜時点で300人以上の「デルタ株」感染が確認され、都内で初めて感染が確認されてから72日間で300人を上回ったと発表した。「アルファ株」(イギリス型)はおよそ80日間で300人を超えた。
- 水曜時点で感染が確認されたのは全国の15の都府県で合わせて224人だ。また、先週1週間に全国で合わせて71人が感染しており、これは2週間前に報告された35人の約2倍増となる。
- 専門家はオリンピック開催を機に感染が再拡大し、「第5波」が訪れる可能性があると指摘する。都の新規感染者の週平均の前週比は28日に約125%まで上昇し、人出は夜間・日中それぞれ約7%と1%増加した。
3. 政府、自治体の大規模接種センター・職域接種の新規申請の休止継続
- 自民党の作業部会は金曜、新規の申請受け付けを休止している自治体の大規模接種では、モデルナに代わりファイザーのワクチンを活用するよう政府に提言した。
- また、接種後、極めてまれに血栓が生じるリスクがあると指摘され、厚生労働省が当面、公的な接種に使わないとしているアストラゼネカのワクチンについて、ワクチンの供給不足を避けるため、対象年齢などを考慮したうえで、使用を検討すべきだとしている。
- 加藤勝信官房長官は木曜、ワクチン接種を証明する紙面の「ワクチンパスポート」を今月下旬に発行し始める見通しを示した。経済界などからは海外出張を円滑に行うために早期導入を求める声があがっていた。
- 菅義偉総理大臣は水曜、企業や大学での職域接種、自治体の大規模接種について、予想以上に多くの要望がきていることから、当面新規受け付けの停止を継続する方針を示した。総理はまた、ワクチン接種は100万回の目標を大きく上回り、火曜1日で167万回の増加となったと説明した。
- 河野太郎ワクチン接種担当大臣は水曜、すでに申請を受け付けている自治体の大規模接種について、出荷できるモデルナのワクチンの量を上回る分は、ファイザーのワクチンで対応する考えを示した。
- 河野大臣は火曜、必要な量のワクチンは9月末までに供給され、10月には自治体などに配送されるという見通しを示した。また、職域接種については、割りふられた3,300万回分のうち、600万回分を大学での接種に充てるとした。
- 中外製薬は火曜、「抗体カクテル療法」という療養法を使用する新型コロナの治療薬について厚生労働省に緊急使用の承認を求める申請を行った。
- アメリカですでに緊急使用許可が出ている「カシリビマブ」と「イムデビマブ」と呼ばれる2種類の医薬品を同時に投与することで、ウイルスの働きを抑える中和抗体を作り出されるのが「抗体カクテル療法」だ。中外製薬によると、海外の治験では入院や死亡のリスクをおよそ70%減らす効果が確認された。
- モデルナは火曜、自社のワクチンが「デルタ株」に対し、感染を阻止する「中和抗体」が作られることが確認できたと発表した。日本では自衛隊・自治体運営の大規模接種センターや企業・大学での職域接種に使用されている。
- 産経新聞は土曜、塩野義製薬が1月から安定供給する予定の国産ワクチンを、当初予定していた3千万人分から6千万人分に倍増すると報じた。塩野義のワクチンは現在、第1・2段階の臨床試験を国内で行っている。
外交・防衛(安全保障)
4. G20外相・開発相会合
- 茂木敏充外務大臣は火曜と水曜、複数のG20関連の外相・開発担当閣僚会合に参加した。
- グローバルガバナンスやアフリカの持続可能な開発に重きを置いた外相会合がまず開かれた。茂木外務大臣は、新型コロナや気候変動対策などの重要課題に対し、G20が協調して対応していく重要性を指摘した。
- また茂木大臣は、日本が「自由で開かれたインド太平洋」構想に基づき、アフリカの港湾施設などのインフラ整備を支援していく考えを示した。アフリカでの影響力を強める中国を念頭においての対応と見られる。
- 外相と開発大臣の合同会合では、世界の食料不安に深い懸念を表明し、持続可能な供給システムへの投資拡大を目指すことなどを盛り込んだ閣僚宣言(マテーラ宣言)を採択した。宣言には、SDGsの目標2である「飢餓をゼロに」を達成することは現状では難しいと明記された。
- 午後に開かれた開発相会合では、資金調達・地域開発とSDGsのローカライズ化がテーマとなった。会合後に発表されたコミュニケには、G20が発展途上国の強力で包括的かつ持続可能なパンデミック後の回復を後押しするというコミットメントを明記した。
- 翌日には、危機対応におけるロジスティクスの役割をテーマにした人道支援に関する閣僚級イベントが開催された。茂木大臣は、日本が国際機関と連携してワクチンなどの人道支援物資の供給網整備に取り組む考えを示した。
5. 二国間会合
- G20会合出席のためにイタリアを訪問中の茂木外務大臣は、ブルネイ、イタリア、イギリス、オランダとインドネシアの外相らとそれぞれ会談を行った。
- オランダの外相とは、東シナ海及び南シナ海において続く力による一方的な現状変更の試みに対し懸念を示し、香港や新疆ウイグル自治区においての人権問題、北朝鮮情勢、日・EUグリーンアライアンスなどについて意見交換を行なった。
- 茂木大臣は火曜、ドミニク・ラーブ英国外務・英連邦・開発大臣兼首席大臣と会談し、二国間の安全保障・防衛協力や今後のNATOとの連携、英国のTPP11加入手続等について意見交換を行なった。
6. 日米関係
- 英・フィナンシャルタイムズは木曜、日米が台湾をめぐる中国との紛争に備えて、ウォーゲームや合同軍事演習を実施してきたと報じた。
- 「災害救援訓練」を装った南シナ海・東シナ海での合同演習や卓上ウォーゲームなどの具体的な動きはトランプ政権最終年に本格的に始まった。
- 日米は中国の軍事力増強や、台湾統一を目指すことについて深い懸念を抱いている。この懸念を裏付けるように習近平国家主席は木曜、中国共産党創建100年の記念日のスピーチで、台湾統一は歴史的任務と改めて決意を表明した。
- 在日アメリカ軍などが使う施設の建設計画が進められている鹿児島県の馬毛島の地元の西之表市議会議員らは月曜、岸信夫防衛大臣と会談した。
- 市長が計画に反対する中、市議らは計画を推進するよう求めた。この会談を前に市議会では計画に賛成を表明する意見書が23日に可決された。
7. 外交関連ニュース
- 菅総理大臣は金曜、3年に1度開かれる第9回「太平洋・島サミット」で、7月中旬以降、ワクチンを分配する国際的な枠組み「COVAXファシリティ」を通じて、年内をめどに太平洋の島しょ国に300万回分のワクチンを提供する考えを表明した。また、首脳らは「自由で開かれたインド太平洋」をもとにさらなる協力関係の強化を図ることで一致した。
- この点に関して菅総理は、海洋安全保障や海洋資源で協力を進めるとともに、気候変動対策などでも連携する方針を示したほか、持続可能で強靭な経済発展の基盤を強化するため、開放性と透明性を重視した質の高いインフラ支援を行う考えを示した。
- 菅総理は今週、金曜に開催されたPALM9に参加する18の国と地域のうち14ヵ国の首脳と個別で会談した。
- 総理は太平洋の島しょ国は、日本の重要なパートナーであると述べ、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、緊密に連携していきたいという考えを示した。また、新型コロナ対策をめぐりワクチンの保冷設備など「コールドチェーン」と呼ばれる低温での輸送網の整備を引き続き支援する方針を伝えた。
- 茂木大臣は、バルト三国とのインフラ事業においての協力、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、国際秩序を維持・強化することや、二国間のデジタル・サイバー分野においての協力などについて話し合った。また、ロシア、北朝鮮、新疆ウイグル自治区や中国の海洋進出について意見交換を行なった。
- 産経は水曜、中国共産党創建100年の記念日となる木曜を控え、自民党が二階俊博幹事長の名義で中国側に電報を送ったと報じた。自民党総裁を務めた河野洋平元衆院議長、立憲民主党や、同党の小沢一郎衆院議員もメッセージを送っている。
- 二階氏の名義で送った電報には、日中両国が東アジア地域の平和と安定への責任を果たすことや、国際社会の期待に応えることの重要性について盛り込んだ。
- 韓国の次期大統領選に出馬することを表明している尹錫悦(ユン・ソクヨル)元検察総長は火曜、日本と「大きな取引」を交わし歴史問題を解決すると同時に、防衛、外交、経済において協力していきたいと述べた。
- 尹元検事総長は、文在寅大統領と側近の捜査や政権からの圧力などで対立し、4ヶ月前に辞任している。
8. 防衛関連ニュース
- 習近平国家主席が台湾統一に強い意欲を示したことについて岸防衛大臣は金曜、台湾をめぐる問題は、当事者間で平和的に解決されることを期待するというのが日本の立場だと改めて表明した。大臣は台湾をめぐる情勢の安定は、日本の安全保障にとって重要とも述べた。
- 海上自衛隊は水曜、補給艦「はまな」が東シナ海で火曜、インド海軍のコルベット艦「キルタン」と洋上補給を想定した訓練をしたと発表した。日印両国が東シナ海で共同訓練するのは異例で、この動きはインド太平洋で活動を強める中国をけん制する狙いがあるとみられる。
- 菅総理大臣は火曜、千葉県の習志野演習場を報道関係者に非公開で訪れ、陸上自衛隊の特殊部隊、特殊作戦群の視察を行った。
- 英・国際戦略研究所が月曜に公表したレポートによると、日本のサイバー能力は「最下位グループ」相当だ。日本はアメリカ、オーストラリア、中国やロシアより下位のグループに区分された。
- 報告書では、日本がサイバー戦略の強化に乗り出したことを指摘する一方、サイバー攻撃に対する対応が弱く、武力行使に関する憲法や政治的な制約によって攻撃能力は未発達だとした。
- 大臣は自衛隊の駐屯地で訓示した後、ロシアや中国などといった国の軍事的な活動が活発化を見せる中、陸・海・空に加えて、「電子戦」など新たな領域で優位性を確保していくことは大切なことだと述べた。
- 政府の海洋政策を検討する有識者会議は月曜、国益を脅かす東シナ海などでの中国による海洋進出を踏まえ、海上保安庁の巡視船や航空機などの増強を図るよう求める提言を提出した。
- また、提言では、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする政府の目標を実現するため、アジアへの展開も見据えた洋上風力発電の技術開発に取り組むことなども盛り込んだ。
- 中山泰秀防衛副大臣は月曜に公開されたハドソン研究所のイベントにて、中国による台湾への圧力に対し「目を覚まし」、民主主義国家として台湾を守る必要があるという考えを示した。
- 副大臣は講演で、日本や米国を含め多くの国々が1970年代以降、「一つの中国政策」に従ってきたが、それが正しい判断であったか「分からない」と述べた。講演中、台湾を「兄弟」と呼ぶ場面もあり、台湾に何かがあれば、沖縄に影響が及ぶとも述べた。副大臣は昨年、台湾(に対する攻撃)はレッドライン(越えてはならない一線)だと発言している。
- 防衛省は配備を断念した陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」に代わるイージス・システム搭載艦のレーダーに、米・レイセオン製のSPY6ではなく、ロッキード・マーティン社製のSPY7を採用する方針を公表した。
- 地上用のSPY7はもともとイージス・アショア用に採用する予定であったため、サイズ・重量ともに艦上用ではない。防衛省はそれでも性能・価格面などで優れると判断し、転用することになった。
- 防衛省内では、ロッキード社との契約を解除すれば、これまでにSPY7導入を前提に投じた700億~800億円の経費が回収できなくなることから、もはや引き返せず、SPY7の選択しかなかったとのささやきもある。
国内政治
9. 政治動向
- 財務省は金曜、来年度予算案の編成に向けて各省庁が予算を要求する際の基本方針を固めた。「裁量的経費」と呼ばれる、政策によって柔軟に増減できる15兆円程度の経費については、今年度の当初予算より減らすよう求める。
- また、脱炭素や子どもを産み育てやすい社会の実現、デジタル化の加速など成長戦略に関わる政策には「新たな成長推進枠」という特別枠を設けることで、各省庁に対しメリハリをつけた予算要求を求める方針だ。
- 福田康夫元首相は木曜、財務省の決裁文書の改ざんについて、極めて遺憾な問題で、行政的には決着したと言われているが、そう簡単に割り切れるものなのかどうか、政治としても考えなければならないと述べ、一連の政府の対応に苦言を呈した。
- 福田氏は、公文書管理の重要性について「健全な民主主義を進めるためには国民が真実を知ることが大事だ。作成すべき文書が作成されず、保存すべき文書が保存されていないのであれば、国民に対する背信と言わざるをえない」と指摘した。
- 厚生労働省は月曜、ことしの厚生労働白書の案をまとめた。新型コロナの感染拡大によって医療提供体制に影響が及んだ経験を踏まえ、新たな感染症の発生に備えて危機に強い医療体制の構築が求められていると指摘した。
- 具体的には、病床の確保に理解を得るのに時間を要したり、病床に空きがあっても医療従事者の確保ができなかったりしないよう、医療機関どうしの連携や役割分担などを検討し、危機に強い医療体制を構築することが求められていると指摘している。
- 自民党の二階幹事長は日曜、新型コロナの経済への影響が長期化する中、今年度の補正予算案の編成が必要だとする与野党議員の要求に同意し、秋までに行われる衆議院選挙の前までに、予算案に盛り込む対策などを明らかにしたいという考えを示した。
10. 経済状況
- 日本をはじめOECDの加盟国を中心に139の国と地域でつくるグループは金曜、各国共通の最低税率を15%以上とすることで合意したという内容を盛り込んだ声明を発表した。
- 合意に賛同した国と地域はアメリカ、中国やインドを含み、世界のGDPの9割を占める。国際法人税は法人税率の引き下げ競争に歯止めをかけることが期待される。
- また、日本円でおよそ2兆6,000億円で、売り上げに占める利益の割合・利益率が10%を超える企業を対象に、新たなデジタル課税を導入することでも合意した。
- 麻生太郎財務大臣は同日、10月に最終合意に至れば歴史的なことだと述べた。そのうえで今回合意に至らなかった国とも協議を進め、最終的にはすべての国と地域が参加する形での合意を目指す考えを示した。
- 政府が火曜に公表したデータでは、5月の完全失業率は緊急事態宣言の10都道府県への延長などにより3%で、前の月と比べて0.2ポイント悪化し、5か月ぶりに3%台となった。
- 日経が火曜に公表した「社長100人アンケート」によると、日本の大企業の12%程が供給網のうちにいる下請け企業での人権侵害をスクリーニングしている。
- 回答した企業のうち80%は人権問題のビジネスリスクが大きくなっていると答えた。回答した企業のうち71%は人権問題を調査・監視する枠組みを採用していると答えた。
- ただ、供給網の下にいけばいくほど、こういった対応が行き届いていないことがわかる。回答した企業の半数以下がグループ内での人権侵害をスクリーニングしていると答えた。(注:この数字はグループ外になれば下がると予想される。)
11. オリンピックまで1ヶ月を切る
- 読売新聞は金曜、政府が大規模会場や夜間に実施される競技などについては無観客とする方向に傾いていて、チケット販売が5,000人以下に収まっている競技などについては、観客を入れられないかどうかを検討していると報じた。
- 菅首相は木曜、緊急事態宣言が再度発令された場合は無観客開催も辞さないと述べた。
- 政府は来週、東京などのまん延防止等重点措置の取り扱いを決定する。まん延防止等重点措置が延長されれば、政府の基準は収容定員の50%以内で上限は5,000人となるため、観客の上限を見直す必要がある。
- 観客の上限についての最終決定はIOC、IPC、組織委員会、東京都と政府で構成される「5者会議」で下される。
- 大会まで1ヶ月をきったが、開催が感染爆発を招く懸念は拭えていない。現在開かれているサッカーのヨーロッパ選手権では、スコットランドに移動した2,000人が新型コロナに感染していたと発表された。
- 厚生労働省は木曜、事前合宿のため来日し、感染が確認されたウガンダの選手団と同便に搭乗していた10代の男性も感染していたと発表した。
- 政府は水曜、事前合宿や住民との交流事業で海外の選手らを受け入れる自治体向けの手引きを改訂した。自治体での事前合宿や交流事業で感染者が出た場合、一緒に合宿している全員をそれぞれ個室で待機させ練習などを停止するとしている。
- ウガンダ選手団の件を踏まえ、政府は空港検疫時点で陽性が確認された場合、空港の段階で濃厚接触の疑いのある人を特定し、別のバスで移動させる。
- 政府の担当者は水曜、出場選手が新型コロナの濃厚接触者に認定された場合の対応について、14日間の隔離期間中でも、大会に出場できる方向で調整していることを明らかにした。
- 政府は日曜、インドやネパールなど、「デルタ株」感染が拡大している6つの国からの選手らに、出国前の7日間、毎日、検査を行うよう求める方針も決めた。
- 現行の方針では、海外から参加するすべての選手やコーチなどに対し、出国前は4日以内に2回、入国後は原則、毎日、検査を行うよう求めている。
- また、感染が広がっているエジプトやベトナムなど5つの国の選手らには、出国前3日間、毎日、検査を求めるとしている。選手らは、検査を行った上、入国後の3日間、チーム以外の人と接触しないことなどを条件に、国内での練習などを認めることにしている。
- IOCは水曜、トーマス・バッハ会長が7月8日に来日すると発表した。バッハ会長は16日に被爆地の広島を訪れる予定で、東京大会調整委員会のジョン・コーツ委員長は長崎を訪問する方向で調整している。
- 火曜に公開された、バッハ氏から選手ら五輪関係者にあてた書簡によると、来日する各国・地域代表団の84%、報道関係者の70~80%がワクチン接種済みとなる見通しという。
- 朝日新聞は火曜、日米両政府が、バイデン大統領の妻ジル氏が開幕式に参加するために来日する方向で調整に入ったと報じた。バイデン大統領は来日しない予定。
- 大会組織委員会は土曜、ボランティアの7万人のうち、接種を希望する人すべてに対するワクチン確保のめどが立ったと発表した。
12. その他関連ニュース
- 金曜の報道によると、フランスの司法当局は、人道に対する罪の隠匿の疑いでユニクロのフランス法人など4社の捜査を始めたことを明らかにした。捜査の発端は、フランスのNGOなどが中国の新疆ウイグル自治区の人たちの強制労働で作られた材料を使っている疑いがあるなどとしてことし4月に4者を告発したことだ。
- 日立製作所の社長や会長を歴任した中西宏明氏は先月、リンパ腫の治療のため、経団連会長の任期途中で退任していた。
- 経団連は中西会長のもと、若い日本人を求めて外国企業と競争する中で、採用の柔軟性を高めるために、大卒者の採用に関する数十年前のガイドラインを廃止した。また、スタートアップなどが大企業が多くいる経団連に参加できるよう、会員資格の要件を緩和した。
- 政府関係者は木曜、子どもに関する諸施策の司令塔となる「こども庁」新設に向けて木曜に予定していた準備室の設置を先送りしたと明かした。複数の政府関係者が同日、明らかにした。室長人事などが間に合わなかったようで、人事異動などを経て、近く発足させる。
- 梶山弘志経済産業大臣は月曜、中小企業などを対象にした「家賃支援給付金」について、実体のない会社を使って、うその申請を行い、およそ550万円をだまし取ったとして詐欺の疑いで官僚2人が逮捕された先週の事件について陳謝した。
- 元農林水産相で元衆院議員の吉川貴盛被告が鶏卵業者から500万円を受け取ったとされる汚職事件で、贈賄罪などに問われた鶏卵大手「アキタフーズ」前代表の秋田善祺被告の初公判が月曜行われ、秋田氏は起訴内容を認めた。
- 起訴状によると、秋田氏は養鶏業界への便宜を図ってもらうなどの目的で、吉川被告が農水相在任中の2018年11月から翌年8月、都内のホテルや大臣室で3回にわたって計500万円の賄賂を贈ったとされる。
- 秋田氏は、吉川被告らの政治資金パーティー券を偽装した名義で購入したとして政治資金規正法違反罪にも問われている。吉川被告は依然、受け取った現金が賄賂だとの認識を否定している。同被告の公判期日はまだ決まっていない。
選挙
13. 衆議院選挙関連
- 安倍晋三元首相と自民党の二階幹事長は水曜に会談し、秋までに行われる衆議院選挙に向けて、党内の派閥間で公認をめぐる競合がある小選挙区での候補者調整などについて意見を交わした。
- 安倍前首相は金曜発売の月刊誌「Hanada」のインタビューで、次期衆院選を巡り「与党で過半数(233議席)を獲得すれば、明確な勝利だ。世界中、過半数の議席を維持したのに(政権が)退陣したなどということはまず起きない」と述べた。
- また、安倍氏は、先月発売の同誌で、「ポスト菅」として4人を列挙したが、新たに自身の出身が所属する細田派から、萩生田光一文部科学相、西村康稔経済再生相、松野博一・元文科相の3人を挙げ、「有力な候補者」と言及した。
- 二階幹事長は火曜の記者会見で、選挙においての公認は現職優先であることは間違いないと強調した。
- 二階幹事長は同会見で、岸田派の林芳正・元文部科学相が次期衆院選で山口3区にくら替え出馬した場合には処分を辞さない考えを示した。
- 自民党の党則では、党公認候補者を不利におとしいれる行為が処分に該当するとされている。二階氏は、無所属としてでも出馬する決意があるとされる林氏の行動がこれにあたるとしている。
- 二階派内には、林氏を除名して、二度と復党できないようにするべきだという意見もある。この選挙は事実上、二階派と岸田派による党内競争になる。
- 林氏は先週金曜、近く正式表明すると語った。同氏は、首相を目指すには参院議員では厳しいとの見方が根強いことから、衆院への転出を模索してきた。
その他の注目すべきニュース
- 三菱電機社長、検査不正で引責辞任: 三菱電機の杉山武史社長は金曜、記者会見を行い、1980年代ごろまでさかのぼって鉄道機器のデータをプログラムを使用して偽造していたとし、辞任する意向を明らかにした。同社が、エアコンなどの製品について、顧客から要求された検査用のデータを自動的に記入するプログラムを使用していたことが発覚した。また、ブレーキに使われる空気圧縮機などの製品の検査に関しては、新たに検査を実施する代わりに、古いデータを再利用していた。杉山氏は、不適切な検査を「組織的な不正行為」とし、従業員らも品質管理部門などの管理職につく担当者が事態を把握していたと明らかにした。品質管理が問題となったのはこれが初めてではなく、昨年、同社がカーラジオ受信機をEUに出荷した際、現地の基準を満たしていないことが明らかになっていた。三菱電機は実際、2016年度以降、品質管理に関する調査を3回しているが、検査の結果、不正は判明しなかった。しかし同時に、これらの調査のうち2回は内部調査であった。同社は、この問題を調査するため、外部の弁護士を中心とした調査委員会を設置する予定だ。調査結果と再発防止策については、9月に発表する。
- 千葉県で飲酒運転のトラック突っ込み子供2人が死亡: 千葉県では月曜、小学生の列に飲酒運転のトラックが突っ込み、児童2人が死亡、3人が大怪我を負った。事件は児童が帰宅途中の千葉県八街市で起きた。また、逮捕された運転手の呼気から基準を超えるアルコールが検出された。運送業者勤務の梅澤洋容疑者(60)は、突然左にハンドルを切った際、電柱にぶつかり、児童らに衝突したことを認めた。梅澤容疑者は自動車運転処罰法違反で逮捕された。事件を受け、菅総理大臣は、通学路の総点検を行うよう指示した。総理は翌日、事故の現場を訪れ、花を手向けて黙とうをささげた。また、総理は市長の歩道を設置したいという要望を受け、政府として全面的に協力したいと述べた。水曜の報道では、地元小のPTAらが2014年にガードレイルの設置を要望していたことが判明した。ただ、幹線道路ではないため整備が後回しになっていたという。
II. 世論調査
- 月曜に公表された朝日新聞の世論調査では、菅内閣の支持率は30%、不支持は30%だった。
- 回答者の57%は小池百合子都知事を支持するとした一方、27%は支持しないと答えた。
- 回答者の60%は東京都議会議員選挙に少しは関心があるとし、23%は大いに関心があり、17%は関心がないと答えた。
- 回答者の69%は都議選に必ず投票に行くとし、25%はできれば行きたい、5%は行かないと答えた。
- 回答者の42%は自民党と公明党が議席の過半数を占めないほうがよいとした一方、32%は過半数を占めたほうがよいと答えた。
- 回答者の53%は投票先を決めるとき、候補者のオリンピックへの姿勢を重視しないとした一方、32%は重視すると答えた。
- 回答者の42%はオリンピックを巡る小池知事の対応を評価するとした一方、42%は評価しないと答えた。
- 回答者の38%はオリンピックを今年の夏に開催するのがよいと思うとし、33%は中止するのがよい、27%は再延期がよいと思うと答えた。
- 回答者の64%はオリンピックを開催する場合、観客なしで行うべきだとした一方、30%は観客数を制限して行うべきだと答えた。
- 回答者の55%は小池知事の新型コロナ対応を評価するとした一方、35%は評価しないと答えた。
- 回答者の44%は20日で解除された緊急事態宣言が感染拡大の防止に「大いに」、あるいは「ある程度」効果があったとした一方、56%は「あまり」、あるいは「まったく」なかったと答えた。
- 回答者の36%は飲食店でのお酒の提供について、午後7時まで、客は2人以下、滞在は90分以内、という条件は適切だと思うとし、29%は緩すぎる、26%は厳しすぎると答えた。
- 回答者の66%は東京都がカジノを含む統合型リゾートを誘致することに反対するとした一方、24%は賛成すると答えた。
- 都議会選での投票先:
- 自民党 (24%)
- 都民ファーストの会 (15%)
- 立憲民主党 (9%)
- 共産党 (7%)
- 無所属 (7%)
- 公明党 (5%)
- 日本維新の会 (2%)
- れいわ新撰組 (2%)
- 国民民主党 (1%)
- 生活者ネットワーク (1%)
- その他の政党 (1%)
- 世論調査は各政党の支持率に関するデータも集計している。
政党名 | 支持率 (%) |
自由民主党 | 28 |
公明党(自民と連立政権を組む) | 5 |
立憲民主党 | 8 |
日本維新の会 | 2 |
国民民主党 | 0 |
日本共産党 | 4 |
社会民主党 | 0 |
れいわ新撰組 | 0 |
古い政党から国民を守る党 (元N党) | 0 |
都民ファーストの会 | 2 |
支持政党なし | 32 |
- 月曜に公表された読売新聞の世論調査では、小池百合子都知事の支持率は59%、不支持は34%だった。
- 回答者の57%は観客数を制限してオリンピックを開催することを評価しないとした一方、35%は評価すると答えた。
- 回答者の48%は東京都の新型コロナ対策について評価するとした一方、45%は評価しないと答えた。
- 月曜に公表された日本経済新聞・テレビ東京の世論調査では、菅内閣の支持率は43%(5月から3%増)、不支持は50%だった。
- 回答者の48%は不支持の理由として指導力のなさを挙げ、33%は政策が評価できないと答えた。
- 回答者の39%(5月から8%増)はこれまでの政府の新型コロナ対策を評価するとした一方、57%(7%減)は評価しないと答えた。
- 回答者の33%はオリンピックは無観客で開催すべきとし、22%は1万人の上限を妥当とし、4%は当初の予定通り開催すべきと答えた。
- 国立精神・神経医療研究センターなどが2月に行なった調査が水曜に公表され、ワクチンを「接種したくない」と考える人が11%いることが分かった。若い世代ほどその割合が高い。
- 接種したくないと答えた人は、15~39歳の若年層では15%だった。40~64%歳では12%と年代が上がるにつれてその割合は減り、65~79歳では6%となった。
Image: Captain76 (CC BY-SA 3.0)
完。
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