I. 今週のニュース
新型コロナ
新型コロナ情報 (基本毎日更新):
- 緊急事態・蔓延防止等に関する情報: 内閣官房、「緊急事態宣言」、 https://corona.go.jp/emergency/
- ワクチン接種等に関する情報: 首相官邸、「新型コロナワクチンについて」、 https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html
- 世界の接種状況の比較: 「チャートで見るコロナワクチン 世界の接種状況は」、日本経済新聞、 https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-vaccine-status/
- 都道府県ごとの新規感染者数: 「特設サイト: 新型コロナウイルス」、NHK、https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data/
- 東京の新規感染者数・病床使用率: 東京都、「都内の最新感染動向」、https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
1. 政府、新規感染者数が過去最多を更新する中、対策強化へ踏み切る
- 政府は木曜、今月末までとされるまん延防止等重点措置を、5県から13県へ拡大すると発表した。
- 国内の累計感染者数は金曜、100万人を超えた。全国では木曜、過去最多となる15,263人の新規感染者が確認された。また、5,042人の新規感染者を確認した東京など複数の都道府県では、過去最多が更新し続けられている。また東京では、日曜までの7日間平均が3,105人と、7月1日の6倍増になっている。
- データによると、水曜までの1週間の全国の新規感染者数は、前の週と比べて1.96倍と、急激に増加している。今回、新たにまん延防止等重点措置下に置かれた福島、茨城、栃木、群馬、静岡、愛知、滋賀、熊本の8県は、いずれも前週比2倍から3倍の増加となっている。
- また、人口10万人当たりの直近1週間の新規感染者数が、最も深刻な「ステージ4」の目安の25人を超えたのは、先週の7都府県から24都道府県に増えた。
- 東京都で確認された5,042人の新規感染者のうち、過去最多となるおよそ49%にあたる2,444人がインド由来の「デルタ株」に感染していた。水曜に開かれた厚生労働省の専門家会合で示されたデータによれば、「デルタ株」は首都圏では、すでに感染全体のおよそ90%を占めるに至ったと推定されている。
- NHKは金曜、7月20日にペルーから日本に帰国した女性が、変異ウイルスの「ラムダ株」に感染した初めての日本での事例であると報じた。WHOは「ラムダ株」を、感染力やワクチンへの抵抗力が従来のウイルスより強い可能性がある、「注目すべき変異株」に分類している。
- 日本経済新聞は木曜、厚生労働省がワクチン接種済みの入国者にも隔離を求める措置を続ける構えであると報じた。世界各国で規制が緩和される中、厚労省は「前例なし」とし、措置の緩和には踏み切らないとしている。
2. 首相、緊急事態宣言の全国への拡大は考えず
- 菅義偉総理大臣は木曜、感染拡大が一段と早まる中、緊急事態宣言の全国への拡大は「考えていない」と述べた。現在のペースで増加が続けば、東京都の新規感染者の7日間平均は、2週間後に1万人を超えるとされている。
- 菅総理は、飲食店での原則、酒の提供停止やテレワークの実施、不要不急の外出自粛とともに、ワクチン接種を徹底し、感染拡大を防止していくと強調した。
- 政府の分科会の尾身茂会長は水曜、緊急事態宣言を全国に拡大するかどうかについて議論の対象にすべきだという考えを示した。尾身氏は、政治のリーダーたちのメッセージが、必ずしも一体感のある強いものではなかったとも指摘した。
- また、尾身氏は、感染拡大について、デルタ株、長い間の自粛による『コロナ慣れ』、『緊急事態宣言慣れ』が影響していると分析した。
- 西村康稔経済再生担当大臣は火曜、この10日間で全国の重症者数がおよそ300人増加して700人を超え、医療提供体制が厳しい状況になっていると指摘し、現在の感染状況が続けば、適切な医療が受けられなくなるおそれがあるとして、不要不急の外出自粛などに改めて協力を求めた。
- 自民党の下村博文政務調査会長は月曜、今後のことを考えれば、ロックダウンを可能にする法改正も国会で積極的に議論すべきだと述べた。菅総理は先週、分科会の出席者からこのような法整備を検討すべきだという意見が出されたことを受け、日本でロックダウンという手法は、なじまないと述べた。
3. 政府、病床確保へ重症化の恐れありの患者以外は自宅療養にする方針
- 政府は木曜、感染者が急増している地域では、入院は重症者、中等症のうち酸素投与が必要な人や、重症化の恐れが強い人などに限定する新たな療養方針を示した。
- 医療逼迫により病床が確保できなくなり、受け入れが断られるケースが出てきている。上記に当てはまらない、従来、入院やホテルなどの宿泊療養が中心だった中等症者や軽症者については、自宅療養を原則とする。
- この方針には当初から問題点が指摘されていた。東京では、今月のわずか5日で、30代から50代の8人が自宅療養中に死亡している。昨年12月から今年の7月までに確認された11人の死者に比べると、今月に入ってから急増していることがわかる。
- 対する野党は水曜、政府方針の撤回を要求することで一致した。立憲民主党、共産党、国民民主党は、政府の方針が、病状の急変で亡くなる人の急増を招くおそれがあるとしている。
- 共産党の志位和夫委員長は同日、今の医療のひっ迫は、菅政権の失政が招いた人災とまで言い、批判した。
4. 政府、ワクチン接種は順調と強調
- 内閣府によると、金曜時点で、全国の総接種回数は9,970万回ほどとなった。また、全人口の46%は一回目、33%は二回目の接種を終えている。
- 河野太郎規制改革担当大臣(ワクチン接種担当)は木曜、米・ファイザー社との交渉の結果、9月までの3か月間の供給量が、当初の予定より600万回分増えて、7,600万回分となったことを明らかにした。
- 塩野義製薬の手代木功社長は木曜、毎日新聞のインタビューで、開発中の新型コロナ感染症の軽症から中等症患者を想定した飲み薬タイプの治療薬について、年内に「条件付き早期承認」の申請を目指す考えを明らかにした。
- 国内では現在、軽症者向けの治療薬は点滴薬しか承認されていない。飲み薬が承認されれば、軽症者は自宅で服用できるようになる。塩野義以外では、ファイザー社が、臨床試験を日本でも始める検討を始めている。
- 菅首相は水曜、7月末までに全国の高齢者の87%が1回目の接種を終え、77%が2回目の接種を終えていることから、希望する高齢者への2回接種という目標は、おおむね達成したものと考えていると述べた。
- また、首相は、今月末には、全国民の4割以上が2回接種を終えることを目指すとした。
- 河野規制改革担当大臣は先週金曜、2回のワクチン接種を終えた人について、来年、3回目の接種を行うことになるのではないかとの見方を示した。
外交・防衛(安全保障)
5. 外相、ASEAN関連会議に参加
- 茂木敏充外務大臣は今週、ASEAN関連の外相会議に参加した。
- 茂木外相は金曜、第14回日メコン外相会議に出席した。外相は会議にて、メコン地域はインド太平洋地域の中核に位置しており、日本は、日メコン協力の枠組みを通じて、常にメコン諸国と共に発展していくと述べた。
- また、外相は、これまで、メコン地域に対して、合計約560万回分の日本製ワクチンを供与してきているほか、コールドチェーン整備のための約7.5億円の支援を行っていることを述べた。ミャンマー情勢に関しては、拘束された関係者の解放や民主的な政治体制への早期回復をミャンマー国軍に強く求め、ミャンマー側が最近発表した、昨年の選挙結果の無効化についても懸念を有していると伝えた。
- 茂木外相は水曜、第11回東アジア首脳会議(EAS)参加国外相会議に出席した。外相は会議にて、東シナ海及び南シナ海において、力による一方的な現状変更の試みが継続・強化されており、強く反対すること、香港情勢及び新疆ウイグル自治区の人権状況に対する深刻な懸念、北朝鮮の核・ミサイル開発や拉致問題についての理解と協力、ミャンマーへのASEAN特使派遣を歓迎することを表明した。
- 外相は火曜、日・ASEAN外相会議に出席した。外相は会議にて、新型コロナの難局にある今こそ、法の支配、開放性、透明性、包摂性といった原則をインド太平洋地域で維持・強化していくことが重要であり、「自由で開かれたインド太平洋」実現の要であるASEANが発出した、インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)への日本の支持及びAOIPの進展につながる具体的な協力を惜しまないことを述べた。
- さらに同日、第22回ASEAN+3(日中韓)外相会議が開催された。この会議で外相は、今年、ASEAN諸国に対し、合計960万回分の日本製ワクチンを供与してきているほか、コールドチェーン整備のための約25億円の支援を行っていることを述べた。また、保護主義が高まる中、自由で公正な経済秩序の構築が重要だと発言した。
- ASEAN+3: ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、日本、韓国、中国
- 東アジア首脳会議 (EAS): ASEAN、オーストラリア、中国、インド、日本、ニュージーランド、韓国、ロシア、米国
- メコン河流域: カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム
6. 外交関連ニュース
- 外務省の船越健裕アジア大洋州局長は金曜、韓国海洋水産部が竹島(韓国にとって独島)のリアルタイム映像をHP上で公開したことを受け、抗議を申し入れた。
- 同氏は、竹島が、歴史的事実に照らしても、かつ、国際法上も明らかに日本固有の領土であることに鑑み到底受け入れることはできず、極めて遺憾であり、改めて強く抗議するとともに同事業の即時中止等を求めるとした。
- 外務省は水曜、ネパールに供与する日本製ワクチン計約160万回分のうち、計84万回分を木曜と金曜に空輸する予定だと発表した。
- 秋葉剛男国家安全保障局長は火曜、インドのドバル国家安全保障担当補佐官と電話会談を行った。両氏は、日本とインドの2か国間協力や、自由で開かれたインド太平洋のさらなる推進、そして「クアッド」も念頭に同志国との協力などについて意見を交わし、引き続き緊密に協力することで一致した。
- 山田重夫外務審議官は月曜、ロシアのモルグロフ外務次官と電話会談を行った。両氏は、平和条約締結問題、北方四島における共同経済活動、四島交流等事業、経済等の二国間関係について意見交換をした。
- 外務省は、ソウルにある日本大使館の相馬総括公使に対し、日曜付けで帰国するよう命じた。
- 政府は、相馬公使が先月、記者に対し、文政権の対日外交姿勢を性的なたとえを使って表現したことを受け、異動させる方向で調整してきた。
- 外務省の船越アジア大洋州局長は月曜、韓国の魯圭悳(ノ・ギュドク)韓国外交部朝鮮半島平和交渉本部長と電話会談を行った。
- 両氏は、最近の北朝鮮情勢について意見交換を行い、引き続き、北朝鮮をめぐる問題の解決に向けて、日韓、日米韓三か国で緊密に連携していくことを確認した。
- 日経新聞は日曜、日本の2021年の政府開発援助(ODA)が1995年の144億ドル(約1兆5,900億円)を超えて過去最高となる勢いで増える見通しだと報じた。理由としては、中国に対抗して、新型コロナ対応で東南アジアに医療機器などの無償資金協力を拡充していることが挙げられている。
7. 防衛関連ニュース
- 防衛省は金曜、沖縄県の辺野古弾薬庫やホワイト・ビーチ地区などを含む在日米軍の15施設を、小型無人機(ドローン)の飛行を禁じる重要施設と新たに認定した。
- 改正ドローン規制法は、米軍関連計30施設と、自衛隊の38施設を対象にしている。発効は9月5日と8月16日となっている。
- この法律では、対象施設とその周囲およそ300メートルの上空でのドローン飛行は原則禁止され、違反すれば1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる。
- 防衛省は木曜、当初の見積もりから費用が大幅に膨らんだため、2種類の長距離巡航ミサイルのうち、LRASM対艦ミサイルの搭載見送りを決め、航空自衛隊のF15戦闘機を改修する計画自体は継続することを決定した。
- 同省は、対地ミサイル「JASSM」などの搭載は継続させる。また、具体的な予算金額は年末の予算編成で計上することにしている。
- 読売新聞は月曜、防衛省が2022年度末に陸上自衛隊のミサイル部隊を、沖縄県・石垣島に配備する方針を固めたと報じた。部隊は500人から600人規模となる予定だ。
- この配備により、南西諸島には、沖縄本島、宮古島、石垣島、鹿児島県・奄美大島の4拠点ができることになる。これらの南西諸島での防衛配備は、第一列島線付近で海洋進出を強める中国に対抗する狙いがあるとみられている。
国内政治
8. 菅首相、平和記念式典でのあいさつ読み飛ばし
- 菅首相は、広島に原爆が投下されてから76年目となる金曜、平和記念式典に出席し、あいさつを読み上げた。
- 首相はあいさつ後、「『核兵器のない世界』の実現に向けた努力を着実に積み重ねていくことが重要だ」とのくだりを読み飛ばしたことについて陳謝した。
- また、記念式典のあと、首相は広島市で被爆者団体の代表と面会し、核廃絶の実現には、核兵器を保有している国を巻き込んで核軍縮を進めることが不可欠だとして、立場の異なる国々の橋渡しに努め、国際的な議論に積極的に貢献する考えを示した。
9. 政治動向
- 立憲民主党の枝野幸男代表は金曜、感染の急拡大について、楽観的な政府の対応が招いたものだと批判し、病床の確保などの議論を急ぐ必要があるとして、直ちに臨時国会を召集するよう重ねて求めた。
- 立憲民主党の国会対策委員長は水曜、来週からのお盆休みの時期も感染対策などについて国会で議論すべきだとして、閉会中審査を行うよう求めた。自民党は持ち帰って検討する考えを示し、引き続き協議することになった。
- NHKは水曜、ことし1月1日現在の住民基本台帳をもとに、「1票の格差」を試算したところ、人口が最も少ない衆議院の小選挙区と最も多い選挙区で、格差は最大で2.047倍だったと報じた。
- 最高裁判所は、違憲判断の目安を2倍としている。参議院では、1票の格差は最大で2.978倍となった。
- 野党は、東京第一検察審査会が、安倍晋三元首相の公職選挙法違反の罪について不起訴にした検察の判断について、「不起訴は不当だ」と議決したことを受け、安倍氏の国会招致が必要だとして速やかに臨時国会を召集するよう強く求めていくことにしている。
10. 経済状況
- 総務省は金曜、6月の家計調査を発表した。
- これによると、1世帯(2人以上)あたりの消費支出は26万285円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月から5.1%減った。減少は今年2月(6.6%減)以来4か月ぶりとなった。
- 現在に比べて1年前は、新型コロナ感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言が全面解除されたり、1人10万円の特別定額給付金が支給されたりして、景気が持ち直していた。
- 他のデータでは、6月の小売売上高が、前年比0.1%増だった。
- 自民党の世耕弘成参議院幹事長は火曜、飲食業などの事業者や生活に困っている世帯への追加の支援策が必要だと述べた。その上で、GDPの需給ギャップが30兆円程度あるとして、30兆円規模の補正予算案を編成すべきだという考えを示した。
- 自民党の下村政調会長は月曜、今年度の最低賃金について、902円から930円までの引き上げがまとまったことを受けて、新型コロナの影響で厳しい状況にある事業者の間に、さらに負担が増えると不安が広がっているとして、支援策を検討し、次の補正予算案に盛り込むよう政府に提言していきたいと述べた。
- 政府の審議会は先月、2021年度の地域別最低賃金(時給)の引き上げ幅について、過去最高の28円増(3.1%)を目安とすることを決めた。
選挙
11. 自民党総裁選、9月29日を軸に検討
- 共同通信は火曜、自民党が総裁選について、9月29日投開票を軸に検討に入ったと報じた。首相が告示前に衆院を解散すれば、総裁選は衆院選後に実施される。
- 昨年は、国会議員と都道府県連の投票による簡略式の選挙を実施したが、今年は再び党員・党友投票の実施をする。 日程は今月26日に決定される。
- 自民党の二階俊博幹事長は火曜、 菅総理にしっかり続投してもらいたいと思う声のほうが国民の間にも党内にも強いのではないかと、続投を支持する考えを強調した。
- 総理はすでに出馬について、時期が来れば当然のことだと述べている。他には、野田聖子幹事長や岸田文雄元政務調査会長が立候補に意欲を示している。
- 木曜の報道によれば、高市早苗前総務相も、総裁選出馬に意欲を示しており、来週火曜発売の文芸春秋で表明するという。
- 高市氏は同誌で、首相の政権運営を「アベノミクスの2本目の矢である機動的な財政出動は適切に実行されなかった」と批判しているという。また、出馬の理由については、「社会不安が大きく課題が多い今だからこそ、総裁選に出馬することを決断した」と述べている。
その他の注目すべきニュース
- 東京地検特捜部、貸金業法違反事件関連で公明党議員の事務所捜索: 東京地検特捜部は水曜、公明党の吉田宣弘衆議院議員と太田昌孝衆議院議員の秘書ら2人が、金融機関からの融資を違法に仲介したとされる事件に関わっていた疑いがあるとして、事務所を捜索した。そのうちの1人は、今年2月、緊急事態宣言中に銀座のクラブを訪れて辞職に追い込まれた同党・遠山清彦元衆議院議員の元秘書だという。この秘書は、遠山氏の辞職後、公明党衆院議員のら2人の事務所で勤めていた。2人の秘書は、貸金業法に規定されている登録を済ませず、日本政策金融公庫と借り手との間の融資契約に関わりを持っていた疑いをかけられている。特捜部は、不当な利益が出ていたことを問題視している。また、特捜部は衆議院議員事務所を捜索した同日、遠山氏の自宅や同氏が代表を務めるコンサルタント会社も捜索した。さらに、時事通信は金曜、遠山氏の支援者が、日本政策金融公庫と借り手との間の融資契約に向けた複数の仲介に関わり、3%の手数料を得ていた疑いがあることを明らかにした。男性によると、100社ほどの企業から窓口紹介の依頼を受け、遠山氏の秘書に公庫担当者の紹介を頼んでいたという。当時、遠山氏は財務副大臣。これまで、公明党の反応は、捜査への全面協力を約束する以外目立ったものはない。ただ、公明党の山口那津男代表は金曜、陳謝し、その上で、今の段階では、わが党の議員も秘書も容疑者ではないと指摘し、沈静化を図った。また、同氏は、政治に対する信頼を回復できるよう、党を挙げてしっかり対応するとも強調した。この発言は、衆院選を前に党の「クリーンさ」を強調する意図があるとみられている。公明党としては、2019年参院選の広島選挙区をめぐる大型買収事件を受け、政治の信頼回復を訴え、次期衆院選の広島3区に自民党の代わりに候補を擁立しただけに、クリーンなイメージを維持したい考えだ。
- 立憲民主党と国民民主党の「共闘」に黄色信号か: 最大野党の立憲民主党と国民民主党は7月16日、衆議院選挙での協力の覚書を交わしたが、国民民主の一部議員から内容について「不公平」だとの声が上がり、早くも黄色信号が点滅している状況と言える。覚書では、小選挙区については、候補者の一本化を図ることを改めて確認した。一方、小選挙区で比例代表の選挙運動を行う場合は、原則として、その選挙区の候補者が所属する政党への支持を両党とも呼びかけるとしている。国民民主の一部議員は、小選挙区の候補者の数が圧倒的に多い立憲民主党が有利なため、不公平な内容だと反発している。なお、立憲はすでに党内手続きを済ませ、覚書を承認しているが、国民は議論が続いている。ただ、両党は、共産党との連立政権発足などについて揉めるなど、もともと関係が複雑である。国民民主の玉木雄一郎代表は4月に、同党は衆院選で野党が過半数をとった場合、共産党がいる連立には入らないと宣言していた。これに加え、立憲・国民両党の最大支持基盤とも言える連合が共産との連立に反対したこともあり、立憲の枝野代表は後に、折れる形で、共産とは連立を組まないと述べた。両党の関係は必ずしも良好ではない。過去にも主導権争いは起きている。2020年1月に合流が失敗した際には、国民民主側が、立憲との議員数と発言力の差に不満を持っていたとされている(国民は合流後の政党名が立憲民主党であることも不満に思っていたようだ)。国民民主の議員は、昨年8月、同党から離れ、立憲と合流した議員がいたことも忘れてはいないだろう。現在の主導権は、明らかに立憲民主党にある。これは議員数を比較すると、なお明確になる。衆議院では、立憲が110人、国民が7人と、大きく開きがある。これが続く限り、両党の間には埋めきれない溝が残る可能性がある。
Image: Captain76 (CC BY-SA 3.0)
完。
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