ポストコロナ時代に向かっている中、日本は3つの大事な選挙を控えている。
- 東京都知事選(7月5日投開票)
- 衆議院議員総選挙(〜2021年10月)
- 自民党総裁選(2021年9月)
*総裁選の投票権は党費・会費を2年間払った党員に限る
2番目の時期は安倍総理が解散総選挙を任期満了(4年任期)前に行うかによって変わる。実は任期満了で選挙をおこなったのは1976年のみ。それだけに来年の10月前に選挙がおこなわれる可能性は高いと見られてきた。
但し、総理は都知事選と同時期に衆議院選挙に踏み切る可能性は極めて低い。そのため、年初めに踏み切る可能性が高い。
過去の解散総選挙を見ると、以下の条件が揃った際に行われる傾向がある。
- 内閣支持率が高く、勝算がある
- 野党の支持が伸び悩んでいる
- 同時期に政治的なイベントが予想されていない
安倍政権に対する信用が揺らぐ中、選挙を行うのはリスクが高い。そうなると、次期(202回)国会招集時の来年1月が最適のタイミングとされている。
大事な選挙を控えている今、誰に投票しているかを理解する必要がある。この記事では安倍政権及び自民党の数々の「スキャンダル」をまとめる。同時に、自民党に迫る野党がいないため、政権交代は極めて難しいと思う理由を述べていく。
ここ2年のスキャンダルをタイムライン化
2019
5月:「桜を見る会」の問題
- 平均で1万人規模のイベントを安倍総理が1万8000人規模に拡大
- 過去の参加者は主に各分野(政治・スポーツ・文化・エンタメ・その他)で功績を認められた人たち
- 官邸独自の基準で招待(功績を認められた者以外も参加)
- 法的に1年は破棄してはならない公文書である招待客名簿を破棄
- 総理支持者を招待した前夜パーティーの価格がホテルニューオータニにしては破格な5000円
- 野党は地元有権者を招待するのは地盤固めと主張
- 価格を5000円に設定し、残りを安倍事務所が負担したとすれば公職選挙法違反に当たると主張
10月:大臣2人が辞任
菅原一秀経済産業大臣
- 公職選挙法違反の疑いを受け、大臣就任わずか1ヶ月後に辞任
- 有権者に香典、高級メロン、カニなどを贈った。これは金品を贈ってはいけないと言う公職選挙法に違反した行為。
河井克行法務大臣・河井案里参議院議員
12月:IR関連法案・秋元司議員逮捕
- 自民党の秋元司議員が2017年に中国企業500ドットコムから現金3000万円、翌2018年に76万円を受け取った疑いで逮捕された
- 秋元議員は内閣府副大臣(2017年8月〜2019年9月)としてIRを担当していた
- 2020年1月には同企業から追加で現金総額3500万円を受け取っていたとして立件された
- 秋元議員の他に5人(うち4人は自民党)の議員が同企業からお金を受け取ったと見られている
- 自民党の4氏は関与を否定、維新の会の下地幹郎議員は現金を受け取ったことを認めた上で党から除名処分を受けた
- IR関連法案は大打撃を受けた。今年1月の共同通信による世論調査では71%の回答者がカジノ計画を見直す必要があると回答
2020
5月:黒川検事長問題
- 検察庁ナンバー2の黒川弘務検事長が緊急事態宣言中、記者と賭け麻雀をしていたとして辞任した
- 朝日新聞社独自の調査によると、朝日の記者は4月7日の緊急事態宣言後、少なくとも4回は黒川検事長と賭け麻雀をしたという
- 黒川検事長は1月の閣議決定による定年延長によりすでに注目されていた
- 定年延長という異例の措置がとられたのは官邸が黒川氏を稲田伸夫検事総長(7月引退予定)の後釜にするためとされている
- 黒川氏は元法務省の官僚で、安倍政権とは長い付き合いがある
- 閣議決定が批判される中、政府は検察庁改正法案を通して検事の定年を65歳に上げようとした
- 改正法案には官邸の意向により定年を更に3年延長できる内容が盛り込まれていた
今後の展望
- 黒川氏は賭博罪で逮捕される可能性がある。但し、額が少なければ罪に問われないという曖昧な基準によって判断される。
- 検察庁は総理大臣さえ立件することができる権力を持っており、政治に影響を受けない所謂三権分立によって独自性を保ってきた
- それを脅かすとして野党や国民からの批判を受け、自民党は法案の採決を断念した
- 内閣支持率が13ポイント下落し、不支持率も64%に上昇した(毎日新聞)
実際自民党支持はどれ程下落した?
5月におこなわれたNHKの世論調査によると、内閣支持率は37%、不支持は45%。

詳しく見ていくと、自民党が依然大きなリードを保っていることが分かる。但し、最も多くの回答を得たのはどこの政党も支持しないという回答。
政党名 | 支持率 (%) |
自民党 | 31.7 |
立憲民主党 | 4.7 |
国民民主党 | 1.0 |
公明党 | 3.8 |
日本維新の会 | 2.4 |
日本共産党 | 3.4 |
支持政党なし | 43.8 |
毎日新聞の世論調査では内閣支持率が「危険水域」の20%台に低迷したとされている。
またFNNは、NHKの世論調査よりも高い不支持率の52.5%を報じた。問題が取り上げられていく中で自民党支持は下がっていることが分かる。
同時に、野党支持が伸びていないことも明白だ。自民党不支持が必ずしも野党支持につながっていないということだ。
現時点で衆議院選挙が開催されれば、自民党は議席を減らしながらも過半数を超えてくるだろう。逆に野党は何十議席取れればいいほうだろう。
なぜ自民党支持は30を割らないのか?
固定票はやはり強いようだ。常に自民党に投票するという固定票、つまり何があっても動かない票が30パーセントほど見込めるのだろう。
同時に、NHKの調査にも出ていたが、自民支持と回答した人の55%は他の政党がないからと回答している。つまり、必ずしも自民党に賛同しているから投票しているわけではない。野党が台頭すれば、票が流れる可能性は十分にある(詳しくはこの投稿を)。
最大野党である立憲民主党の不祥事も自民党を助けている。自民党のコロナ対応を国会で批判する最中、立憲の高井崇志議員が(緊急事態宣言中)歌舞伎町の「セクキャバ」に出入りしていたことが報じられた。
野党は与党との差を見せつける意味でもこういう問題をおこしてはならない。
与党支持者からよく聞くのは野党は政権運営の邪魔しかしない、時間を無駄にしているだけの存在だと。そう言わせないためにも、持続的に現政権に変わる政策アイディアと不祥事のないクリーンなイメージを求めたい。
政権を抑制するには強い、競争できる野党が必要だ。今後野党が共闘などをしながらその方向に向かうことを願う。
これからの日本政治
現在、自民党は問題が起きても支持率をある程度維持できる。そのため、個々の政治家に対する党の監督能力が機能していない。それはいくら問題が起きても政権交代を恐れる必要性がないからだ。
自民党支持者でも、この監督責任の欠如に対して問題意識を持つべきだ。
まずは有権者として選挙で投票して自民党に危機感を持たせることが大事だろう。そうすれば自民党も現在の管理体制を変えざるを得ない。
今後2年間の日本政治からは目を離せない。我々国民にできることは自民党に危機感を覚えさせることと、与党と競争できる野党をつくること。
日本の政治をより良い、国民のためのものにするには、与党・野党両方に努力してもらう必要がある。
写真: Ajswab (CC BY-SA 3.0)
3 thoughts on “2020•2021年の日本政治を注視すべき理由”